公開日 2021/06/01 06:30
新感覚、空気と骨のハイブリッド伝導。Unique Melody「Mini MEST」のサウンドを体感せよ
【PR】8万円に抑えた新機軸
「イノベーションとは、顧客にとっての価値の創造である」――経営学の父として知られるピーター・ドラッカーが残した名言だ。この言葉を体現した製品の一つが、昨年7月にUnique Melodyが発売したユニバーサルIEM「MEST」だ。
MESTが起こしたイノベーションとは、鼓膜に届く音と骨伝導により骨を経由して届く音を組み合わせ、イヤホンリスニングの枠を超えた音楽体験を実現したこと。このために、ダイナミック型+バランスド・アーマチュア(BA)型+静電型+骨伝導型という4種類のドライバーを組み合わせるという新機軸を打ち出した。
MESTの新感覚サウンドは、多くのオーディオファンに賞賛を持って受け入れられたものの、実勢価格が約17万円と高価格帯であったこともあり、手の届く人は限られていた。ドライバーの数や音質、音楽体験の価値を考えれば妥当な金額なのは理解できるが、この状況を筆者は影ながら歯がゆく感じていた。
その想いはUnique Melodyも同じだったようだ。なぜなら、実勢価格を約8万円に抑えながらも、MESTのような音楽体験ができるニューモデル「Mini MEST」をリリースしたからだ。今回は、このMini MESTの機能やサウンドを紹介したい。
■Mini MESTの本質は、空気伝導と骨伝導という音のハイブリッド
本機の特徴を知る上で外せないキーワードが「骨伝導」だ。一般的にイヤホンの音はドライバーが空気を振動させ、鼓膜から聴覚神経に伝わる。対する骨伝導は、ドライバー自体が振動して音を頭蓋骨に伝え、それが直接、聴覚神経に届く。
録音した自分の声をイメージするとわかりやすいだろう。普段認識している声は骨伝導を主として空気伝導が合わさった音であり、一方の録音した声は空気伝導のみの音となる。録音した自分の声を初めて聞いた際に違和感を覚えるのは、この違いによるものだ。
Mini MESTは、この骨伝導型ドライバーと3基のBAを組み合わせたハイブリッド構成。まさに、MEST同様にイヤホンのノズルから届く空気振動の音と、骨伝導により骨から伝わる音の2種類を組み合わせた、音の伝え方のハイブリッドを実現しているのだ。
BAはそれぞれ低域、中域、高域を担当する。骨伝導型ドライバーはフルレンジとなるが、低域から高域までをくまなくカバーするというよりは、中域を中心にしつつ、低域から高域まで範囲を広げたイメージ。帯域の異なる3基のBAの音をつなぎ、整えつつ中高域のサウンドを厚くする役割を担う。
振動で音を伝える骨伝導型ドライバーの多くはコイルによって振動を生むため、サイズも振幅も大きい。その点、本機の骨伝導型ドライバーは、多層圧電セラミックスという薄い膜を震わせて振動を生む。ドライバー自体が薄くて小さいばかりか、振幅も小さく、イヤホンに適しているという。
骨伝導型ドライバーはフェイスプレートの内側に固定されており、振動となった音がフェイスプレートからシェル(筐体)、頭蓋骨、聴覚神経の順に伝わる。振動を頭蓋骨に伝えるなら、シェルに骨伝導型ドライバーを配置しても良さそうに思えるが、それは素人考えというもの。
Unique Melodyは補聴器開発のバックグラウンドを持ち、骨伝導も長年研究している。過去に骨伝導技術を取り入れたノイズキャンセリングイヤホンを手掛けたこともあったそうで、2016年には中国で骨伝導技術に関する特許も取得している。これら多くのノウハウを基に試行錯誤を重ねた結果、MESTの開発時に骨伝導型ドライバーをフェイスプレートに固定する手法を確立させたという。本機にもその技術を投入しているのだ。
Mini MESTには他にも数多の工夫が凝らされている。注目は、中域を担当するBAドライバーに、専用カスタマイズしたKnowles製のフルオープン型を採用したこと。音導管を介さずドライバーの音を鼓膜に届けられるため、「歪みの少ないナチュラルサウンドを実現した」そうだ。ここに骨伝導型ドライバーの中域が加わることで、他では味わえないほどの表現力を手に入れている。
もう一つのポイントがシェルにある。音導管を使わないフルオープン型BAドライバーは、その位置が少しでもズレて配置されると、音の進路が変わり狙った音でなくなってしまう。寸分のズレなくシェル内に収めることが求められるのだ。そこで、シェルは3Dプリンターを使い、外装と内部構造を一体成形し、設置場所が変わらないようにした。内部構造が複雑でもろいという難点もあるが、トレーニングを積んだ職人が一つひとつ丁寧に組み立てることでクリアしている。
MESTが起こしたイノベーションとは、鼓膜に届く音と骨伝導により骨を経由して届く音を組み合わせ、イヤホンリスニングの枠を超えた音楽体験を実現したこと。このために、ダイナミック型+バランスド・アーマチュア(BA)型+静電型+骨伝導型という4種類のドライバーを組み合わせるという新機軸を打ち出した。
MESTの新感覚サウンドは、多くのオーディオファンに賞賛を持って受け入れられたものの、実勢価格が約17万円と高価格帯であったこともあり、手の届く人は限られていた。ドライバーの数や音質、音楽体験の価値を考えれば妥当な金額なのは理解できるが、この状況を筆者は影ながら歯がゆく感じていた。
その想いはUnique Melodyも同じだったようだ。なぜなら、実勢価格を約8万円に抑えながらも、MESTのような音楽体験ができるニューモデル「Mini MEST」をリリースしたからだ。今回は、このMini MESTの機能やサウンドを紹介したい。
■Mini MESTの本質は、空気伝導と骨伝導という音のハイブリッド
本機の特徴を知る上で外せないキーワードが「骨伝導」だ。一般的にイヤホンの音はドライバーが空気を振動させ、鼓膜から聴覚神経に伝わる。対する骨伝導は、ドライバー自体が振動して音を頭蓋骨に伝え、それが直接、聴覚神経に届く。
録音した自分の声をイメージするとわかりやすいだろう。普段認識している声は骨伝導を主として空気伝導が合わさった音であり、一方の録音した声は空気伝導のみの音となる。録音した自分の声を初めて聞いた際に違和感を覚えるのは、この違いによるものだ。
Mini MESTは、この骨伝導型ドライバーと3基のBAを組み合わせたハイブリッド構成。まさに、MEST同様にイヤホンのノズルから届く空気振動の音と、骨伝導により骨から伝わる音の2種類を組み合わせた、音の伝え方のハイブリッドを実現しているのだ。
BAはそれぞれ低域、中域、高域を担当する。骨伝導型ドライバーはフルレンジとなるが、低域から高域までをくまなくカバーするというよりは、中域を中心にしつつ、低域から高域まで範囲を広げたイメージ。帯域の異なる3基のBAの音をつなぎ、整えつつ中高域のサウンドを厚くする役割を担う。
振動で音を伝える骨伝導型ドライバーの多くはコイルによって振動を生むため、サイズも振幅も大きい。その点、本機の骨伝導型ドライバーは、多層圧電セラミックスという薄い膜を震わせて振動を生む。ドライバー自体が薄くて小さいばかりか、振幅も小さく、イヤホンに適しているという。
骨伝導型ドライバーはフェイスプレートの内側に固定されており、振動となった音がフェイスプレートからシェル(筐体)、頭蓋骨、聴覚神経の順に伝わる。振動を頭蓋骨に伝えるなら、シェルに骨伝導型ドライバーを配置しても良さそうに思えるが、それは素人考えというもの。
Unique Melodyは補聴器開発のバックグラウンドを持ち、骨伝導も長年研究している。過去に骨伝導技術を取り入れたノイズキャンセリングイヤホンを手掛けたこともあったそうで、2016年には中国で骨伝導技術に関する特許も取得している。これら多くのノウハウを基に試行錯誤を重ねた結果、MESTの開発時に骨伝導型ドライバーをフェイスプレートに固定する手法を確立させたという。本機にもその技術を投入しているのだ。
Mini MESTには他にも数多の工夫が凝らされている。注目は、中域を担当するBAドライバーに、専用カスタマイズしたKnowles製のフルオープン型を採用したこと。音導管を介さずドライバーの音を鼓膜に届けられるため、「歪みの少ないナチュラルサウンドを実現した」そうだ。ここに骨伝導型ドライバーの中域が加わることで、他では味わえないほどの表現力を手に入れている。
もう一つのポイントがシェルにある。音導管を使わないフルオープン型BAドライバーは、その位置が少しでもズレて配置されると、音の進路が変わり狙った音でなくなってしまう。寸分のズレなくシェル内に収めることが求められるのだ。そこで、シェルは3Dプリンターを使い、外装と内部構造を一体成形し、設置場所が変わらないようにした。内部構造が複雑でもろいという難点もあるが、トレーニングを積んだ職人が一つひとつ丁寧に組み立てることでクリアしている。
次ページMini MESTでしか味わえない、新たな音楽体験がここにある