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PR 公開日 2024/12/31 06:30

ティアック “Reference 500”、銘機の系譜。最新USB-DAC/ヘッドホンアンプ「UD-507」の音質的到達に驚愕!

自社設計のディスクリートDACを500番シリーズとして初搭載
角田郁雄
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TEAC(ティアック)より、“500番シリーズ” の最新モデルとなるUSB-DAC&プリアンプ&ヘッドホンアンプ、「UD-507」が登場した。A4サイズに最新のデジタル再生機能を盛り込んだ “500番シリーズ” は、シリーズ登場から10年を超えてなお進化を続けている。

2000年代中盤からハイレゾ再生を追求してきた角田郁雄氏と「UD-507」「HA-507」

今回は、ハイレゾ再生の黎明期からそのサウンドを推進してきたオーディオ評論家の角田郁雄氏が「UD-501」から「UD-503」「UD-505」「UD-505-X」の4モデルを改めて聴き返すとともに、最新「UD-507」に至る進化の過程と到達点を探ってみよう。


■スタジオエンジニアが体験する「ハイレゾ」に着目



TEAC(ティアック)より最新のDAC&プリアンプ&ヘッドホンアンプ、「UD-507」が登場しました。本機は、同社が展開してきた「ディスクリートDAC」をティアック・ブランドとして初搭載したということが、大きな特徴と魅力です。

私は、この “500番シリーズ” に深い思い入れがあります。今回は、ティアック本社のリスニングルームを訪問し、過去のモデルを改めて振り返りながら、最新の「UD-507」のサウンドをじっくり体験してきました。

上から順番に「UD-507」「UD-505-X」「UD-505」「UD-503」「UD-501」。全部通しで聴き比べるのはティアックの開発スタッフも初!

ご存じの方もおられると思いますが、私は2005年くらいからハイレゾ再生を推進してきました。何故かと言うと、SACDの発売が激減してきたからです。高音質CDも消え去りそうになりました。これは大変なことだと思いましたが、若い世代のスタジオエンジニアの多くが、パソコンでCDリッピング音源や自ら録音した音源を楽しんでいることを知り、これは、オーディオ愛好家も楽しめるかもしれないと思いました。

とても懐かしい思い出で、私は録音やマスタリングを経験してきたこともあり、Macとスタジオ向けDACをFirewireケーブルで接続し再生することもありました。その後、本格的なUSB-DACやネットワークプレーヤーが登場し、96kHzから192kHzへ短期間で変化を遂げ、やがてDSDやDXD再生の時代を迎えました。しかし、高額な海外製品が目立ち、若い世代をオーディオに迎えるためのリーズナブルな価格帯はほとんどありませんでした。

■「UD-501」 -デュアル・バランス構成で中低域の厚みが魅力-



そこに登場したのが、2012年11月発売の「UD-501」でした。私の当時のハイレゾ活動の後押しをしてくれた、今でも忘れることができない機種です。

TEAC「UD-501」

私は、最初にUD-501を見て感動しました。サイドパネルは厚みのあるアルミ製でA4サイズ。フロントのツマミもアルミ製で精密感があり、同社のテープレコーダーの操作部を彷彿とさせてくれました。当時の最高フォーマット、DSD 5.6MHzとDXDに対応。電源部を含めてデュアル・モノラル・フルバランス構成で、高品位なヘッドホンアンプも搭載しました。当時はヘッドホンの人気も大きく高まっていたタイミングでもありました。

当初のUD-501は足が4本

DACチップはバーブラウンの32bit型「PCM1795」で、左右に各1基搭載しました。価格は115,500円(税込)。今回、その音をCDトランスポート「PD-505T」と組み合わせ、リファレンスのヴォーカル曲、ホフ・アンサンブルの『クワイエット・ウィンター・ナイト』を再生しました。

その他のシステム構成としては、新製品のヘッドホンアンプ/プリアンプ「HA-507」(今回はプリアンプとして使用)、ステレオパワーアンプ「AP-505」、スピーカーには、タンノイ「SGM10」を使用しました。CD再生で、以降の503、505、507まで同一条件で再生しています。

ティアックの試聴室にて歴代 “500番シリーズ” を聴き比べ!スピーカーには “スタジオモニター” の系譜を継ぐタンノイの「SGM10」を組み合わせ

「UD-501」の音は、楽曲のもつ繊細さや柔らかさをよく再生し、中低域に厚みのある音が特徴でした。音の色付けを抑え、解像度と周波数特性を拡張したことが特徴で、デュアル・モノ構成により、空間描写性を高めていました。今聴いてもいい音で、決してノスタルジックな音はしていません。多くの愛好家が購入され、大ヒットを遂げました。

「UD-501」の原器となった「UD-H01」。USB-DAC兼ヘッドホンアンプという基本機能はこの時代から受け継がれている(当時の価格で50,000円前後)

■「UD-503」 -旭化成のDACチップを採用し弱音再現性を強化-



その後、2015年6月には「UD-503」が登場しました。価格はオープンですが、実売価格は150,000円前後。UD-501の後継機種として本機も注目され、500シリーズ・ファンが定着してきた印象を受けました。

TEAC「UD-503」

基本的には、電源部を含めたデュアル・モノラル・フルバランス回路で、旭化成のDACチップ「AK4490」を2基搭載しました。サンプルレートは、DSD 11.2MHzに対応したことが特徴です。出力バッファーに、電流強化型バッファーアンプTEAC-HCLDを初搭載し、10MHz外部クロック入力に対応しました。

UD-503から足元が3点支持に変更

その音質は、ヴォーカルや楽器奏者の実在感を鮮明にし、弱音再現性を高めています。言い換えれば、ダイナミックレンジが拡張されています。音の立ち上がりも、TEAC-HCLDの効果により俊敏になり、低域ドライブ力も高まりました。この時期から、多くの愛用者が10MHzクロックに関心をもち始めました。

■「UD-505」「UD-505-X」 -DACチップの異なる2モデル-



2018年1月には「UD-505」が登場します。価格はオープンで160,000円前後。ハイレゾのスペック競争が激化したこともあり、最高フォーマット、DSD 22.5MHzとPCM 768kHz/32bitに対応しました。同時にネットワークプレーヤー「NT-505」も発売されました。DACチップは旭化成の「AK4497」2基です。

TEAC「UD-505」

その音質は、繊細さや柔らかさを引き立てる高解像度再生で、一層空間描写性が高まり、アナログの滑らかな音質に、グッと近づいた印象を受けます。2017年には、待望の10MHzマスタークロックジェネレーター「CG-10M」が発売され、さらに空間描写に優れた、高解像度再生が実現できました。

2021年9月。当時は、世界的な半導体不足により、DACチップの入手が困難となりました。そこで、DACチップをESSの「ES9038Q2M」に変更した「UD-505X」が登場しました。価格は173,800円。TEAC-HCLDもバージョン2にアップグレードされました。その音質は、録音場所の空気感までも再生する、変換特性の進化が特徴です。ステージの広さや奥行きをよく再現し、音の鮮度や立ち上がりの良さが進化しましたし、音の色付けも少なくなりました。

TEAC「UD-505-X」 外観はUD-505と変化なしだが、天板のネジがなくなった点やプリアンプ機能など、DACチップだけではないアップデートがなされている

こうして振り返っていると、技術と音質の進化が鮮明となりますし、新しいフォーマットや再生方法にスピーディに対応していることが見てとれます。

次ページ最新「UD-507」の到達点を徹底検証

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