公開日 2022/01/28 07:00
パナソニック「DMR-ZR1」が起こす“4Kトランスポーター革命”。開発者ロングインタビュー前編
UB9000を凌駕するクオリティの秘密
パナソニックから“究極の4Kレコーダー”「DMR-ZR1」が、1月28日に発売される。3年前に発売されたフラグシップUHD BDプレーヤー「DP-UB9000 (Japan Limited)」も大きなインパクトを与えたが、本製品はそれを凌駕するクオリティだという。
そんなDMR-ZR1の開発に携わった12名の方に、DP-UB9000ユーザーの秋山真氏がオンラインで話を伺った。実に3時間にも及ぶロングインタビューで、この“超弩級4K録画・再生機”開発の裏側を明らかにしよう。
■DP-UB9000を超える画質・音質を目指し開発
秋山:Teamsの画面が凄いことになっています(笑)。3年前に「DP-UB9000 (Japan Limited)(以下、UB9000)」の取材で門真にお伺いした時も10人にお集まりいただいて圧倒されましたが、今回はなんと12人! 皆様、師走のお忙しいなか、本当にありがとうございます。前回もご参加いただいた方と今回初めてお会いする方が半々くらいですが、プロジェクトごとに開発チームは変わるのでしょうか?
甲野:私や宮本のような要素開発をやっている人間は共通ですが、それ以外のメンバーは機種ごとに違っています。DMR-ZR1(以下、ZR1)の開発にはさまざまな部署から多くのメンバーが参加しています。
秋山:UB9000を最後のUHD BDプレーヤーのつもりで購入した私にとっては、まさに寝耳に水だった今回のZR1ですが、先日の内覧会で観た映像に衝撃を受けまして、いま心が揺れに揺れております。今日はそんな私の背中を押してくれるような開発エピソードをたっぷりお聞きしたいと思います。まずはZR1を企画した経緯について教えてください。
村上:最後の高級機との意気込みで2018年12月に発売させていただいたUB9000ですが、その後もJVCケンウッドさんとのコラボや、4K放送録画メディアへの対応などバージョンアップを重ねた結果、我々が予想した以上の評価をいただき、想定の倍近いスピードで販売台数が伸びていきました。
もちろん私の脳内には次期プレーヤーをどうしようかという妄想は常にありましたが、UB9000の完成度が高かっただけに、なかなか商品としての具体的なイメージが湧きませんでした。そんな折、2020年5月頃にDIGAのラインナップを見直す機会がありまして、そのなかで「DMR-UBZ1(以下、UBZ1)」をベースとした新しい高級レコーダーの企画化が持ち上がったのです。
これには社内も喧々諤々で、UBZ1ベースで早く作って売ったほうがいいのではないかという販売的な観点と、高級機としてやるからにはUB9000と同じ次元で徹底的にクオリティを高めるべきという商品的な観点でのせめぎ合いが数か月に渡って続きました。しかし、最終的に辿り着いたのは「UB9000が評価されたからこそ、高級レコーダーに取り組む意義がある」という結論です。
こうして、UBZ1ではなくUB9000をベースに、レコーダーの本懐であるデジタルの基本画質・音質において、UB9000超えを目指した新しいフラッグシップレコーダーの方向性が決まりました。通常のレコーダーは企画決定から8ヶ月くらいで発売になりますが、ZR1はそれと比べて倍以上の時間を費やして、「AVマニアに“Wow”を提供する4Kレコーダーの決定版」として開発されています。
秋山:UB9000ユーザーとしては、まさかUB9000がBefore/AfterのBeforeに使われる日が来るとは思いもよりませんでした。見事な“Wow”です(苦笑)。ただ、私を含めて多くの人が、UBZ1の後継機は8K対応レコーダーになると予想していたと思います。
甲野:私自身もUB9000をやり終わった後には、次に作らなければならない高級機は8Kレコーダーになるだろうと思っていました。ただ、NHKさんが高品位な8K番組を作られていることは事実なんですが、思ったほどは普及が進まず、8K対応の高級レコーダーの商品化が難しい状況が続いていました。個人的にも忸怩たる思いでしたね。
その一方で、UHD BDをはじめ、VOD、放送、録画と、4Kの世界が爛熟期に差し掛かっているという実感もあって、我々DIGAチームのあいだには、それら全てに対応した4KプレミアムDIGAを作らなければならないという使命感が徐々に湧いてきました。
そんなタイミングで、先ほど村上がご説明した高級レコーダー企画化の話がありまして、それに飛びついたというわけです。4Kであれば我々が2006年から脈々と培ってきた独自技術がフルに活かせるので、世界最高のレコーダーが絶対に作れるという自信があったのです。
秋山:“4Kであれば”というのは、言い換えると、8K対応を見送ったのは、DIGAの高画質処理の要となる(旧UniPhierの流れを汲む)ソシオネクスト製のチップにも理由があるということでしょうか?
甲野:UB9000やZR1で使っているチップは4K用ですので、8Kに対応するには新たなチップとそれを使うシステムの開発が必要です。また、フラッグシップ機に求められるクオリティを実現するには、単にフォーマットとして8Kに対応するだけではなく、様々な高画質・高音質技術を作りこむ必要があります。
村上:とはいえ、UBZ1が4K放送録画に非対応だったこともあり、このタイミングで4Kレコーダーの集大成を作る意義は大いにあると考えました。
そんなDMR-ZR1の開発に携わった12名の方に、DP-UB9000ユーザーの秋山真氏がオンラインで話を伺った。実に3時間にも及ぶロングインタビューで、この“超弩級4K録画・再生機”開発の裏側を明らかにしよう。
■DP-UB9000を超える画質・音質を目指し開発
秋山:Teamsの画面が凄いことになっています(笑)。3年前に「DP-UB9000 (Japan Limited)(以下、UB9000)」の取材で門真にお伺いした時も10人にお集まりいただいて圧倒されましたが、今回はなんと12人! 皆様、師走のお忙しいなか、本当にありがとうございます。前回もご参加いただいた方と今回初めてお会いする方が半々くらいですが、プロジェクトごとに開発チームは変わるのでしょうか?
甲野:私や宮本のような要素開発をやっている人間は共通ですが、それ以外のメンバーは機種ごとに違っています。DMR-ZR1(以下、ZR1)の開発にはさまざまな部署から多くのメンバーが参加しています。
秋山:UB9000を最後のUHD BDプレーヤーのつもりで購入した私にとっては、まさに寝耳に水だった今回のZR1ですが、先日の内覧会で観た映像に衝撃を受けまして、いま心が揺れに揺れております。今日はそんな私の背中を押してくれるような開発エピソードをたっぷりお聞きしたいと思います。まずはZR1を企画した経緯について教えてください。
村上:最後の高級機との意気込みで2018年12月に発売させていただいたUB9000ですが、その後もJVCケンウッドさんとのコラボや、4K放送録画メディアへの対応などバージョンアップを重ねた結果、我々が予想した以上の評価をいただき、想定の倍近いスピードで販売台数が伸びていきました。
もちろん私の脳内には次期プレーヤーをどうしようかという妄想は常にありましたが、UB9000の完成度が高かっただけに、なかなか商品としての具体的なイメージが湧きませんでした。そんな折、2020年5月頃にDIGAのラインナップを見直す機会がありまして、そのなかで「DMR-UBZ1(以下、UBZ1)」をベースとした新しい高級レコーダーの企画化が持ち上がったのです。
これには社内も喧々諤々で、UBZ1ベースで早く作って売ったほうがいいのではないかという販売的な観点と、高級機としてやるからにはUB9000と同じ次元で徹底的にクオリティを高めるべきという商品的な観点でのせめぎ合いが数か月に渡って続きました。しかし、最終的に辿り着いたのは「UB9000が評価されたからこそ、高級レコーダーに取り組む意義がある」という結論です。
こうして、UBZ1ではなくUB9000をベースに、レコーダーの本懐であるデジタルの基本画質・音質において、UB9000超えを目指した新しいフラッグシップレコーダーの方向性が決まりました。通常のレコーダーは企画決定から8ヶ月くらいで発売になりますが、ZR1はそれと比べて倍以上の時間を費やして、「AVマニアに“Wow”を提供する4Kレコーダーの決定版」として開発されています。
秋山:UB9000ユーザーとしては、まさかUB9000がBefore/AfterのBeforeに使われる日が来るとは思いもよりませんでした。見事な“Wow”です(苦笑)。ただ、私を含めて多くの人が、UBZ1の後継機は8K対応レコーダーになると予想していたと思います。
甲野:私自身もUB9000をやり終わった後には、次に作らなければならない高級機は8Kレコーダーになるだろうと思っていました。ただ、NHKさんが高品位な8K番組を作られていることは事実なんですが、思ったほどは普及が進まず、8K対応の高級レコーダーの商品化が難しい状況が続いていました。個人的にも忸怩たる思いでしたね。
その一方で、UHD BDをはじめ、VOD、放送、録画と、4Kの世界が爛熟期に差し掛かっているという実感もあって、我々DIGAチームのあいだには、それら全てに対応した4KプレミアムDIGAを作らなければならないという使命感が徐々に湧いてきました。
そんなタイミングで、先ほど村上がご説明した高級レコーダー企画化の話がありまして、それに飛びついたというわけです。4Kであれば我々が2006年から脈々と培ってきた独自技術がフルに活かせるので、世界最高のレコーダーが絶対に作れるという自信があったのです。
秋山:“4Kであれば”というのは、言い換えると、8K対応を見送ったのは、DIGAの高画質処理の要となる(旧UniPhierの流れを汲む)ソシオネクスト製のチップにも理由があるということでしょうか?
甲野:UB9000やZR1で使っているチップは4K用ですので、8Kに対応するには新たなチップとそれを使うシステムの開発が必要です。また、フラッグシップ機に求められるクオリティを実現するには、単にフォーマットとして8Kに対応するだけではなく、様々な高画質・高音質技術を作りこむ必要があります。
村上:とはいえ、UBZ1が4K放送録画に非対応だったこともあり、このタイミングで4Kレコーダーの集大成を作る意義は大いにあると考えました。
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11/15 10:43 更新