公開日 2007/05/02 16:59
新生CLASSEは銀河系最強集団? − 本社幹部に聞くDELTAシリーズ大量投入の秘密
B&Wグループ・アジアのCEOであるLars T Hundborg氏と、同グループ傘下の加CLASSE(クラッセ)社のエグゼクティブ・バイスプレジデントであるDavid Nauber氏が、先日音元出版を訪問し、新製品の情報など今後の事業戦略を明らかにした。
B&Wの2007年の戦略は前回お伝えしたとおり。本項では、クラッセ社のNauber氏のインタビューをお届けしよう。
クラッセは1980年に、マイク・ビグラス氏によって創業された。本拠地はカナダのモントリオールだ。Nauber氏は、「当時と現在とでは、様々な変化があった。アナログがデジタルに変わったし、ステレオだけでなくマルチチャンネル音声も台頭してきた。さらに、コンポーネントが音楽だけを楽しむものから、映画の再生も行うようになった」とスタイルの変化を振り返った。
その上でNauber氏は、「真空管アンプやアナログレコードのように、古い楽しみ方も生き残っているが、現代のテクノロジーを盛り込んだ新たなハードウェアが求められているのも事実」とし、クラッセとして、新技術を積極的に取り込んでいく姿勢を強調。さらに、「日本はオーディオ分野で世界1位、2位を争う大きな市場。しかもクオリティに対する要求が非常に強い」とし、日本市場を重視する考えを示した。
読者諸氏もご承知の通り、クラッセは2001年にB&Wグループの傘下に入った。この経緯についてNauber氏は、「B&Wオーナーのジョー・アトキン氏から、『クラッセ製品の販売をB&Wグループで行いたい。クラッセを世界で通用するブランドにしよう』と持ちかけられた」と説明。当時Nauber氏はマーク・レビンソンなどを束ねるマドリガル・グループにいたが、「『全く新しいクラッセ立ち上げのために移籍を』とヘッドハンティングを受け」、その招聘に応じたのだという。
Nauber氏はその後、「これまでにない全く新しい製品を、短期間に、かつ大量に送り出すため」、腕利きエンジニアの獲得に奔走。その一人がトム・カラタユードゥ氏で、2003年にマーク・レビンソンからクラッセに移籍した。マーク・レビンソンのデジタル系製品はすべてこのカラタユードゥ氏が担当したのだという。
その後、時を置かずして、LINNの設計部門のヘッドだったアラン・クラーク氏が移籍。クラーク氏はCD12の開発者で、現在はクラッセのCTOを務めている。
ほかには、アナログ回路のエキスパートであるナン・ニューエン氏の存在も忘れてはならない。ニューエン氏は20年来、クラッセ製品の開発に携わっており、その実力は誰もが認めるところなのだという。
こうして、スペインリーグ、レアル・マドリードの“銀河系最強集団”を彷彿とさせる、オーディオ界のスーパースターがクラッセに集結した。これだけの経歴を持つエンジニアが続々とクラッセの招きに応じた背景に、B&Wグループの強力な資金面でのバックアップがあっただろうことは想像に難くない。実際に、これらのエンジニアがクラッセに加わったことにより、同社の製品開発力は急速に強化された。Nauber氏も、「これだけのエンジニアが1社に揃うのは本当に稀有なこと」と説明する。
こうして生まれたのが同社のDELTAシリーズ。タッチパネルでの操作や、機能のアップグレードが可能など、他社の製品にはないフィーチャーを盛り込んだシリーズで、「デザインだけでなく、製品コンセプトそのものが非常に現代的」とNauber氏は出来栄えに自信を示す。
DELTAシリーズは、実に5カテゴリー・16モデルが短期間に市場に投入された。Nauber氏は「こんなにスピーディーに、クオリティの高いモデルが大量投入された例は聞いたことがない」と、同社の技術開発力の高さを改めて強調する。
クラッセでは現在、新しいプロジェクトを進めている。「DELTAシリーズを発展させた製品で、CAM400の性能を継承しながら小型化したモデルを投入したい。シャーシは共通で、出力は400W/chとなる」という。この製品は、B&Wの「800D」を鳴らすのに最適なアンプになるとも語ってくれた。
また、将来的にはBDやHD DVDプレーヤーの投入も視野に入れている。「様々なデジタル製品の開発を通じて、デバイスメーカーと親密な関係にある。ユーザーが求める仕様が完全に固まるまではなかなか難しいが、いわゆるハイエンドオーディオメーカーでは、最初に次世代光ディスクプレーヤーを投入できるのではないか」と見通しを述べた。
最後にNauber氏は、「日本市場でのブランド立ち上げは比較的ゆっくりしていたので、まだまだクラッセの認知度は低いはず。これから魅力的な製品をどんどん発売し、耳の肥えた日本のユーザーに受けいけられるよう努力していく」と抱負を語ってくれた。
(Phile-web編集部)
B&Wの2007年の戦略は前回お伝えしたとおり。本項では、クラッセ社のNauber氏のインタビューをお届けしよう。
クラッセは1980年に、マイク・ビグラス氏によって創業された。本拠地はカナダのモントリオールだ。Nauber氏は、「当時と現在とでは、様々な変化があった。アナログがデジタルに変わったし、ステレオだけでなくマルチチャンネル音声も台頭してきた。さらに、コンポーネントが音楽だけを楽しむものから、映画の再生も行うようになった」とスタイルの変化を振り返った。
その上でNauber氏は、「真空管アンプやアナログレコードのように、古い楽しみ方も生き残っているが、現代のテクノロジーを盛り込んだ新たなハードウェアが求められているのも事実」とし、クラッセとして、新技術を積極的に取り込んでいく姿勢を強調。さらに、「日本はオーディオ分野で世界1位、2位を争う大きな市場。しかもクオリティに対する要求が非常に強い」とし、日本市場を重視する考えを示した。
読者諸氏もご承知の通り、クラッセは2001年にB&Wグループの傘下に入った。この経緯についてNauber氏は、「B&Wオーナーのジョー・アトキン氏から、『クラッセ製品の販売をB&Wグループで行いたい。クラッセを世界で通用するブランドにしよう』と持ちかけられた」と説明。当時Nauber氏はマーク・レビンソンなどを束ねるマドリガル・グループにいたが、「『全く新しいクラッセ立ち上げのために移籍を』とヘッドハンティングを受け」、その招聘に応じたのだという。
Nauber氏はその後、「これまでにない全く新しい製品を、短期間に、かつ大量に送り出すため」、腕利きエンジニアの獲得に奔走。その一人がトム・カラタユードゥ氏で、2003年にマーク・レビンソンからクラッセに移籍した。マーク・レビンソンのデジタル系製品はすべてこのカラタユードゥ氏が担当したのだという。
その後、時を置かずして、LINNの設計部門のヘッドだったアラン・クラーク氏が移籍。クラーク氏はCD12の開発者で、現在はクラッセのCTOを務めている。
ほかには、アナログ回路のエキスパートであるナン・ニューエン氏の存在も忘れてはならない。ニューエン氏は20年来、クラッセ製品の開発に携わっており、その実力は誰もが認めるところなのだという。
こうして、スペインリーグ、レアル・マドリードの“銀河系最強集団”を彷彿とさせる、オーディオ界のスーパースターがクラッセに集結した。これだけの経歴を持つエンジニアが続々とクラッセの招きに応じた背景に、B&Wグループの強力な資金面でのバックアップがあっただろうことは想像に難くない。実際に、これらのエンジニアがクラッセに加わったことにより、同社の製品開発力は急速に強化された。Nauber氏も、「これだけのエンジニアが1社に揃うのは本当に稀有なこと」と説明する。
こうして生まれたのが同社のDELTAシリーズ。タッチパネルでの操作や、機能のアップグレードが可能など、他社の製品にはないフィーチャーを盛り込んだシリーズで、「デザインだけでなく、製品コンセプトそのものが非常に現代的」とNauber氏は出来栄えに自信を示す。
DELTAシリーズは、実に5カテゴリー・16モデルが短期間に市場に投入された。Nauber氏は「こんなにスピーディーに、クオリティの高いモデルが大量投入された例は聞いたことがない」と、同社の技術開発力の高さを改めて強調する。
クラッセでは現在、新しいプロジェクトを進めている。「DELTAシリーズを発展させた製品で、CAM400の性能を継承しながら小型化したモデルを投入したい。シャーシは共通で、出力は400W/chとなる」という。この製品は、B&Wの「800D」を鳴らすのに最適なアンプになるとも語ってくれた。
また、将来的にはBDやHD DVDプレーヤーの投入も視野に入れている。「様々なデジタル製品の開発を通じて、デバイスメーカーと親密な関係にある。ユーザーが求める仕様が完全に固まるまではなかなか難しいが、いわゆるハイエンドオーディオメーカーでは、最初に次世代光ディスクプレーヤーを投入できるのではないか」と見通しを述べた。
最後にNauber氏は、「日本市場でのブランド立ち上げは比較的ゆっくりしていたので、まだまだクラッセの認知度は低いはず。これから魅力的な製品をどんどん発売し、耳の肥えた日本のユーザーに受けいけられるよう努力していく」と抱負を語ってくれた。
(Phile-web編集部)