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公開日 2009/10/09 19:20

アクトビラとデジタルTVを中心としたユビキタスネットワークの実現へ − 木村社長キーノートスピーチ

CEATEC JAPAN 2009レポート
Phile-web編集部
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(株)アクトビラ代表取締役社長 木村純氏
CEATEC JAPAN 2009の開催期間となる9日(金)、(株)アクトビラ代表取締役社長の木村純氏がキーノートスピーチに登壇し、「アクトビラの事業戦略と今後の展開」と題した講演を行った。

アクトビラは2007年2月にテキストや静止画を中心にブラウジング方式のIPTVサービスをスタートして以後、同年9月にはストリーミング方式のHD/SD動画配信サービスを開始。08年12月からは“セル”と“レンタル”の2つのビジネスモデルによるビデオダウンロードを開始するなど、これまで順調な成長を遂げてきた。「アクトビラのスタート以来の成長はブロードバンド環境の発展と密接に係ってきた」と語る木村氏は、IPTVサービスを取り巻くブロードバンド環境の現状から説明を始めた。

木村氏が最初に紹介したのは、総務省の集計データを元に同社が09年以降の動向推定を加えたグラフ。2004年以降の高速ブロードバンド回線の普及傾向を示すもので、同社の見方によれば「光回線の導入数は08年で約1440万回線に上っており、今後2011年までに約2770万回線にまで成長する見込み」であるという。またこれにCATVとDSLを含んだブロードバンド回線の合計値では約4100万回線となり、今後一層ブロードバンドの普及が進むとの見解が示された。


国内ブロードバンド環境の普及状況と今後の予測

地上デジタル放送受信機器の普及状況と予測
続いてデジタル放送受信機の普及についてのデータが紹介された。JEITA調査によれば、09年7月末時点でデジタル放送受信機の普及は5546万台に到達。同社の見解として木村氏は「2011年までには1億台のデジタル放送受信機が普及するだろう」と付け加えた。

このようにブロードバンド環境の拡大が進む中、アクトビラのサービススタートと期を同じくして、IPTVをベースにした映像配信サービスが次々と台頭してきたと木村氏は語る。「アクトビラは元はパナソニックのテレビシリーズ“ビエラ”向けのIPTVサービスである“Tナビ”をベースに開発され、ソニーのネットワークサービス“TVホーム”と統合しながら発展を遂げてきた。当社は06年に設立され、以後次々と新しいアクトビラのサービスを送り出し、今年で3年を迎えようとしている」と木村氏は振り返る。一方で、国内では昨今「ひかりTV」「ひかりONE」や「GyaoNEXT」「テレビ版Yahoo!JAPAN」など、それぞれ異なるサービスプロバイダが新たなIPTVサービスを拡大しつつある。木村氏は“アクトビラの特長”について「サービス対応機であれば市販の標準テレビですぐに楽しめ、別途STBやアダプタを必要としない手軽さが最大のメリット。可能な限りユーザーフレンドリーであるため、オープンなインターネット網をプラットフォームにしている」と強調した。またテレビのリモコンで完結する簡易な操作性、HDクオリティの高画質なコンテンツの充実、機器ID認証をベースにした安全安心な利用環境の実現や国際標準の著作権保護技術である「Marlin」を採用するセキュリティ性の高さもメリットとして挙げる。


IPTVサービスの国内動向

主なIPTVサービスの位置付けを紹介。アクトビラは対応する標準テレビとオープンなインターネット網で楽しめる点をアピール
現在アクトビラで提供されているサービスでは、文字と静止画中心の「アクトビラ ベーシック」が26ジャンル/64のサービスを用意。映像配信は「アクトビラ ビデオ」「アクトビラ ビデオ・フル」のサービス上で39社のプロバイダー数、約15,000本の視聴コンテンツが用意されている。また昨年から開始したダウンロードサービスは現在約450のコンテンツが揃っており、セルベースのダウンロードサービスではBD/SDカード/メモリースティック/iVDRなどにエクスポートできる点も特徴として紹介された。


アクトビラで提供されているサービスの紹介

サービスの一覧
「アクトビラ ビデオ」対応機器の普及状況については「現在検証中の機器で10社119機種が対応を実現している」という。GfKのデータをもとに同社の市場予測が付け加えられたデータによれば、機器出荷台数に占める「アクトビラ ビデオ」(ビデオフルを含む)、デジタルテレビの対応機種は09年上期で40%(デジタルTV)にのぼり、11年の上期までに80%に達すると同社は見込む。また昨年から導入を開始した「アクトビラビデオ ダウンロード」については、09年上期は販売されているBDレコーダーの約28%がサービスに対応しており、11年上期には約45%に成長するとの予測が示された。


対応機器の普及状況

アクトビラのサービスのデモも紹介
アクトビラのサービスへの累計接続数も示され、木村氏によると10月7日には130万台の記録を達成したという。「アクトビラは可能な限りハードルを下げて、誰でも楽しめるサービスであることを心がけている」と木村氏は語る。

アクトビラのサービス利用状況に関する現況も紹介された。同社独自のユーザー調査データによれば、年齢構成は「35〜49歳」の「既婚者」が最も多いという。この結果について木村氏は「年齢層が高めであると言えるが、これまでビデオサービス対応機は各社の高級モデルに限って搭載されていたことがこの分布に影響しているのではないかと思われる。最近では小サイズの普及価格帯モデルにもアクトビラ対応機が広がってきたので、今後は単身世帯や低年齢層にもユーザーの分布が広がるだろう」とした。


アクトビラの利用者分布

アクトビラビデオの販売傾向
アクトビラビデオの販売傾向については、「コンテンツの取り扱いは今のところSD画質のものが多いが、販売成果の内訳を見てみるとHDとSDのコンテンツのユーザーが半々という内容に変わってくる。お客様がHDコンテンツを求めているのは明らかだ」と語る。

ジャンル別では映画/ドラマ/アニメで8割に達しているという。「ドラマやアニメはシリーズものが多く、リアルな店舗では“貸し出し中”になっていたり、何本ものパッケージを借りなければならない手間がかかるが、VODならばシリーズ購入が簡単な点が好評を得ているのでは」と木村氏は分析する。また月額商品の退会率が低いことや、昨今は電子マネー決済の利用が倍増していることも傾向として見られるという。

最後に今後同社が展開を予定しているサービスについて紹介が行われた。木村氏は「まずは対応機を所有されているユーザーの方々にアクトビラの魅力をアピールしつつ、接続台数と利用者数を伸ばして行きたい。2011年に600万接続・110万ユーザーが目標だ」とした。


2011年に600万接続・110万ユーザーが目標とした

サービスの向上を目指していくと宣言
またその目標を実現するために「コンテンツを充実させていくことが大事。新作のリリース時期を可能な限り早めたり、日本語のコンテンツを増やすこと、ショッピングや生活情報などへ幅を広げていくことが目標」とした。利便性の向上を実現するためには「サービス事業者との連携して“ポイントサービス”など付加価値をつくって行きたい。また携帯電話やPC、カーナビなどテレビ以外のプラットフォームと連携して、広がりをつくっていくことも必要だ」と述べた。また電子マネーでの決済を利用するユーザーが増えつつあることからも、今後決済手段の多様化と簡素化を進めていくことも大事と木村氏は語った。

これら“B to C”での働きかけにとどまらず、“B to B”でもアクトビラの利便性を訴求していきたいという木村氏。具体的にはイベントやコンサート、通販、株主総会など「ライブ配信」をアクトビラのプラットフォームで提供する考えや、サイネージ、eラーニング、ホテル向けVOD、企業内研修などへサービスの展開幅を拡大していく考えが述べられた。


“B to B”にもプラットフォームを拡大していくという

デジタルTVを中心にしたユビキタスネットワークの実現が目標として掲げられた
木村氏は「デジタルテレビとアクトビラのサービスをベースにした、デジタルホーム機器のユビキタスネットワークを積極的に推進していきたい。アクトビラが特長とするオープンなプラットフォームの性質を活かして、ユーザーにとって楽しくて易しい、かつ安全便利なサービスを充実させていく考えだ」とし、今後の意気込みをあらわにした。

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