• ブランド
    特設サイト
公開日 2015/08/18 09:00

HDR10とは? ゾーンとは? Blu-ray Copyはどうなる?「Ultra HD Blu-ray」の詳細を聞く(後編)

<連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト>
折原一也
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

先日、米Blu-ray Association(BDA)よりライセンス開始が発表された次世代BD「Ultra HD Blu-ray」。その基本仕様はパナソニック(株)AVCネットワーク社 技術本部 メディアアライアンス担当部長の小塚雅之氏、パナソニック(株)アプライアンス社 技術本部 ホームエンターテインメント開発センター 運営規格課 技術渉外係 主幹の森美裕氏に尋ねた前編で既に紹介したが、その後ホワイトペーパーも公開された。新たに判明した「HDR」「ディスク仕様」「Blu-ray Copy」の3要素について、くわしく紹介していこう。

パナソニック 小塚雅之氏

パナソニック 森美裕氏

標準技術「HDR10」(仮称)が必須仕様として採用

まず、4KとともにUltra HD Blu-rayのメインフィーチャーのひとつである「HDR」(ハイダイナミックレンジ)については、「HDR10(仮称)」がマンダトリ−(必須)、「Dolby Vision」「Philips」の両方式がオプションとして採用されることになった。なお、Ultra HD Blu-rayプレーヤーなど再生ハードウェア側の対応もHDR10への対応は必須で、DolbyやPhilipsについてはオプションとなる。

Ultra HD Blu-rayのロゴマーク
 
HDR10は、BDAへパナソニックとソニーが提案した、オープン技術によって構成されるHDRの収録方式だ。ちなみにHDR10というのは正式名称ではないが、単なる「HDR」では、iPhoneなどが搭載しているHDR機能などと混同されてしまう可能性があるため、このような名称が使われている。米Amazonや米MGOといった映像配信事業者が、自社の映像配信サービスで「HDR10方式」のように呼んでいるため、業界関係者のあいだでは、すでにある程度一般化している名称だ。

さて、その「HDR10」の中身については、まず輝度信号の圧縮についてはこちらの記事でも紹介した通り、輝度信号カーブについては「SMPTE ST 2084」を採用する。その詳細は以前ドルビーに行った取材記事に詳しいが、ドルビーがHDRを普及させるためにSMPTE(米国映画テレビ技術者協会)に提案し、標準化されたHDRコンテンツの輝度情報収録方式だ。

映像の色深度は10bitで、HEVCの映像ストリームは一つ。なお、HDR10で収録した映像信号は、再生機器側でHDRからSDR(スタンダードダイナミックレンジ)への変換が行えるため、HDR非対応のテレビでも視聴できる。

映像収録に伴うスタティックメタデータについては「SMPTE ST2086」が定義され、グレーディングに使われたディスプレイの情報を伝送する。さらに、BDAが定義してHDMIでもサポートされた静的データとして、MaxCLL(Maximum Content Light Level)とMaxFALL (Maximum Frame Average Light Level)が定義された。同時にオーサリングガイドラインでは、1,000nitを超える領域は小さな面積の鏡面反射のような部分に限定すること、平均が400nitを超えないことが規定されている。

HDRの概要(以降のパワーポイント図表はすべてパナソニック提供)

HDR10でグレーディングした映像はネット配信コンテンツにも使用できる

若干Ultra HD Blu-rayから離れた話題だが、HDR10は事実上の業界スタンダードとして、既に制作環境も整い、機材も揃っている。またネットとの整合性もあることが重要なポイントだ。

「パナソニックはUHD Alliance(関連ニュース)に参加していることもあり、映画スタジオ、テレビメーカー、そしてNetflixさんなども集まって、各社の持っているコンテンツとテレビを掛け合わせて合同で評価をしました。映画スタジオ各社も、他社のコンテンツは観た事ない状態で参加したのですが、HDR映像の制作はなかなか難しいというのが感想です。スタジオ毎にコンテンツのグレーディングの考え方が違ったり、グレーディングのやり方によっては見た目の差があまり現れなかったり、といったことがありました」。

「もっともHDR10方式については、ソニーさんが発売している有機ELマスターモニター、BVM-X300が対応していますし、FOXさんは既に4タイトルをOTT配信し、今後はすべてのタイトルをHDRで制作することを発表しています。制作システムとしてはすでに動き始めています」(小塚氏)

HDR10について追記すると、FOXが4作品を制作し、米国ではAmazonやM-GOが既に配信を開始。HDMI2.0aで映像伝送するほか、パナソニック、ソニー、サムスン、LGをはじめ大手テレビセットメーカーが既に対応を発表している。Ultra HD Blu-rayの登場を待たずして、既に実績がある方式だけに、スタンダードな方式として定着する可能性が高い。

次ページHDRは「Dolby Vision」方式などもオプション採用

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX