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公開日 2013/03/14 13:00

ヤマハRX-V575/RX-V475速攻レビュー −「エントリーながら妥協の無いヤマハサウンド」

高クオリティでリアリティのある自然な再生
野村ケンジ
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■エントリークラスとしての妥協が一切感じられない充実のスペック

5〜6万円台のエントリークラスとは思えないハイスペックぶり。この春にデビューするヤマハのAVアンプ「RX-V575」「RX-V475」(関連ニュース)の特徴をひとことで表すならば、そういった言葉になるだろう。機能はもちろん、音質面でも「本当にエントリークラスなのか!?」と疑いたくなるほど高い実力を持ち合わせているのだ。

RX-V475(左)とRX-V575(右)

まずは機能面から紹介していこう。ちなみにRX-V575/475の2機種は価格的に1万円ほどの開きがあるが、機能はほとんど変わらない。内蔵するアンプの数がRX-V575は7ch、RX-V475は5chとなっており、RX-V575のみ2ゾーン再生機能とサブウーファーの2系統出力が搭載される程度に留まっている。ということで、ここからはRX-V575をメインに話を進めていこうと思う。

RX-V575が特徴的なのは、AVアンプとしての基礎体力の高さとともに、マルチメディアステーションとしてのユーザビリティを持ち合わせている点だ。AVアンプとして、MHLや4K&3D映像に対応した最新のHDMI端子を搭載している。なお、ヤマハ独自のサラウンド技術「シネマDSP」は<3Dモード>に対応している。

HDMIは5入力/1出力を搭載

うち1系統はMHLに対応する

その一方、iPodデジタル接続用のUSB端子に加え、AirPlayへの対応や最高192kHz/24bit(WAV/FLAC)に対応するネットワークプレーヤー機能など、手軽に高音質なオーディオ再生が行えるシステムを搭載。一昔前のミドルクラス級の高い機能性が盛り込まれているのだ。

さらに、スマートフォンとの親和性を高めているのも大きなポイント。オプションで用意されたBluetoothレシーバー「YBA-11」は、高音質コーデック「apt-X」にも対応する。加えてiOS/Android両対応の専用アプリ「AV CONTROLLER」によって、使い慣れたiPadやスマートフォンで簡単に操作が行える(PCやNAS内の音楽ファイルもこちらのアプリを使えば簡単に再生できる)など、機能面だけでなくユーザビリティにおいても、上級モデル並みの至れり尽くせり感がある。エントリーモデル故の妥協が、いっさい感じられないのだ。

オプションのBluetoothレシーバー「YBA-11」

■サラウンド再生も音楽再生も高クオリティのナチュラルテイスト

上述の通り、本機は音質面においても妥協が無い。昨年モデルからさらなるブラッシュアップを行ったというサウンドは、かなり満足度の高いレベルに達している。

映画『ダークナイト』では、縦横無尽に駆け回るアクションシーンにおいてスムーズで途切れのないサラウンド空間が広がる。音色はバランスが良く、とても自然でナチュラル。クルマの走行音やトラックの荷台が柱にぶつかる音など、かなりのリアリティを感じさせる。さすがヤマハ、さすがシネマDSPといえる部分だ。

ネットワーク機能を使用した音楽ファイルの再生も烽「クオリティで楽しむことができる。NAS内の音楽ファイルを再生してみたが、サウンドはS/N感に優れてダイナミックだ。特に女性ボーカルが良く、高域の倍音成分がきれいに整っている。伸びやかな、生き生きとした歌声を聴かせてくれるのだ。

音色もナチュラルテイストで、「映画向きの音色傾向で無理に音楽コンテンツを聴いている」という無理矢理感も皆無。また、CDからリッピングした音源とハイレゾ音源の聴き比べを行ってみると、両者の違いがはっきりと分かるくらいの解像度の高さにも驚かされた。

下位モデルとなるRX-V475の方も、基本はナチュラルテイストな音色傾向で、映画再生だけでなく音楽コンテンツを再生しても自然に聴くことができるが、上位モデルRX-V575の方がダイナミックさが増す。とはいってもRX-V475の再生音質のクオリティが下がるということではなく、上述の通り機能面でRX-V575とほぼ同じ仕様を備えていることも併せて考えれば、よりコストパフォーマンスの高いモデルであるといえるだろう。

RX-V575/475は、ヤマハならではのリアリティのあるスムーズな音場感で映像コンテンツを楽しめるのと同時に、ネットワークオーディオ機能によって手軽にハイレゾ音源も再生できる、機能と音質の両面でエントリークラスとしての妥協が無いハイクオリティさを持ち合わせている魅力的な製品だ。サラウンド再生も音楽再生も高クオリティで楽しみたい、コストを抑えたいが音質的には妥協はしたくない、というこだわり派にこそオススメしたい。


◆野村ケンジ プロフィール
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。

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