公開日 2020/10/09 06:30
ヤマハが掲げる「True Sound」を体現する新プリメイン登場。“5000シリーズ”から連なる思想と音を聞く
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ヤマハからこの夏、一体型ならではのサウンドデザインを追求したプリメインアンプ「A-S3200」が登場した。
プリメインアンプのモデルチェンジは実に6年ぶりになる。さらに「A-S2200」「A-S1200」と、グレードの異なる兄弟機も揃えられた。これら3モデルの開発には、国内外を問わず高く評価されたフラグシップ「5000シリーズ」によって培われた音質上の成果が惜しむところなく反映されている。
その背景には、営業や製造現場も含めた開発チームが一丸となって、ハイファイの理想を見据えた製品作りを行ったという事実がある。まさにヤマハブランドを次なるステージに引き上げる戦略モデルなのだ。
今回は、そんなヤマハ・ハイファイのキーパーソンである商品戦略を担当する熊澤 進氏と、アンプ設計のリーダー荒巻英寿氏、そして国内販社でマーケティングを担当する小林博文氏に、山之内 正氏がインタビューを行った。強固なヤマハ・ハイファイの「信念」はどのようにして生まれ、また実際のサウンドとして結実しているのか、インタビューを通じてその熱い思いを感じて欲しい。
なお、このインタビューは新型コロナウイルスの世界的な影響を踏まえ、浜松の(株)ヤマハ本社と、東京の(株)ヤマハミュージックジャパンをオンラインでつないで開催された。記事の後半では、このインタビューを踏まえた山之内氏の渾身のレビューもお届けする。
■ヤマハ・ハイファイの3つのキーワード「OPENNESS」「EMOTION」「GROOVE」
山之内 最初に熊澤さん、荒巻さんそれぞれの経歴について教えてください。
熊澤 商品戦略グループでヤマハのハイファイ商品すべての商品戦略と商品企画を担当しています。以前はアンプとプレーヤーの設計をしていまして、2006年の「A-S2000」「CD-S2000」、ネットワークプレーヤーの「NP-S2000」、アンプ「A-S3000」、パワードスピーカーの「NX-N500」の開発にも携わりました。その後、商品戦略に移り、5000シリーズの商品企画を担当しています。
荒巻 私はいまAC開発部電気グループに所属しています。ハイファイアンプ設計チームのリーダーとしてモデル開発を統括しています。入社した当時はAVレシーバーのパワーアンプや電源を担当していたのですが、ヤマハのハイファイをもう一度きちんと立ち上げよう、と2006年のハイファイグループ発足時から熊澤と一緒にやっています。その後、4年半ほどマレーシアに駐在し、3年前に5000シリーズの開発に携わるために日本に帰ってきました。C-5000の回路設計、音質チューニングを担当し、多くの高音質化ノウハウを得ることができました。A-S3200では、それらの高音質化ノウハウを盛り込んで開発しました。
山之内 A-S2200とA-S1200についても同じ設計チームで設計されたのでしょうか?
熊澤 同じチームで、同時進行で設計しています。20代を含む若手のスタッフにも参加してもらい、我々の音質の方向性を一緒に考えながら開発してきました。結果、この3モデルは音質的に方向性の揃ったシリーズになっています。
山之内 小林さんはどういうお立場で参加されているのでしょうか?
小林 私は国内販社でハイファイオーディオ製品のマーケティング、広報を担当しています。また一方で、5000シリーズ各モデルや今回のプリメインアンプのチューニングなど、開発のサポートも行っています。
山之内 今回の製品のお話に入りますが、サウンドデザインコンセプトということで3つのテーマを掲げています。「OPENNESS」「EMOTION」「GROOVE」という言葉ですが、それぞれについて、少し掘り下げてご説明をいただけますか?
熊澤 3つの言葉の前にお伝えしたいこととして、これからのヤマハのオーディオ事業は、お客様に提供する音楽体験として「True Sound」という言葉を掲げていきます。この言葉は、まさに音楽の表現者が本来意図した音を伝えようというコンセプトです。ヤマハは音楽制作からライブまで手掛けているので、音、音楽が生まれる瞬間を知っています。アーティストがどのように表現していて、聴き手がどう共感しているのか、ということを知っているメーカーとして、本来あるべきものを表現しよう、という意味が込められています。
これらに共通するのは、静的な意味ではなく、音楽的な、人の心を動かす動的な表現をしっかり表現していこう、ということです。特にハイファイではミュージカリティ=音楽性を強調しています。それを開発に落とし込んでいくサウンドコンセプトとして、「OPENNESS」「EMOTION」「GROOVE」という3つのテーマを掲げています。
プリメインアンプのモデルチェンジは実に6年ぶりになる。さらに「A-S2200」「A-S1200」と、グレードの異なる兄弟機も揃えられた。これら3モデルの開発には、国内外を問わず高く評価されたフラグシップ「5000シリーズ」によって培われた音質上の成果が惜しむところなく反映されている。
その背景には、営業や製造現場も含めた開発チームが一丸となって、ハイファイの理想を見据えた製品作りを行ったという事実がある。まさにヤマハブランドを次なるステージに引き上げる戦略モデルなのだ。
今回は、そんなヤマハ・ハイファイのキーパーソンである商品戦略を担当する熊澤 進氏と、アンプ設計のリーダー荒巻英寿氏、そして国内販社でマーケティングを担当する小林博文氏に、山之内 正氏がインタビューを行った。強固なヤマハ・ハイファイの「信念」はどのようにして生まれ、また実際のサウンドとして結実しているのか、インタビューを通じてその熱い思いを感じて欲しい。
なお、このインタビューは新型コロナウイルスの世界的な影響を踏まえ、浜松の(株)ヤマハ本社と、東京の(株)ヤマハミュージックジャパンをオンラインでつないで開催された。記事の後半では、このインタビューを踏まえた山之内氏の渾身のレビューもお届けする。
■ヤマハ・ハイファイの3つのキーワード「OPENNESS」「EMOTION」「GROOVE」
山之内 最初に熊澤さん、荒巻さんそれぞれの経歴について教えてください。
熊澤 商品戦略グループでヤマハのハイファイ商品すべての商品戦略と商品企画を担当しています。以前はアンプとプレーヤーの設計をしていまして、2006年の「A-S2000」「CD-S2000」、ネットワークプレーヤーの「NP-S2000」、アンプ「A-S3000」、パワードスピーカーの「NX-N500」の開発にも携わりました。その後、商品戦略に移り、5000シリーズの商品企画を担当しています。
荒巻 私はいまAC開発部電気グループに所属しています。ハイファイアンプ設計チームのリーダーとしてモデル開発を統括しています。入社した当時はAVレシーバーのパワーアンプや電源を担当していたのですが、ヤマハのハイファイをもう一度きちんと立ち上げよう、と2006年のハイファイグループ発足時から熊澤と一緒にやっています。その後、4年半ほどマレーシアに駐在し、3年前に5000シリーズの開発に携わるために日本に帰ってきました。C-5000の回路設計、音質チューニングを担当し、多くの高音質化ノウハウを得ることができました。A-S3200では、それらの高音質化ノウハウを盛り込んで開発しました。
山之内 A-S2200とA-S1200についても同じ設計チームで設計されたのでしょうか?
熊澤 同じチームで、同時進行で設計しています。20代を含む若手のスタッフにも参加してもらい、我々の音質の方向性を一緒に考えながら開発してきました。結果、この3モデルは音質的に方向性の揃ったシリーズになっています。
山之内 小林さんはどういうお立場で参加されているのでしょうか?
小林 私は国内販社でハイファイオーディオ製品のマーケティング、広報を担当しています。また一方で、5000シリーズ各モデルや今回のプリメインアンプのチューニングなど、開発のサポートも行っています。
山之内 今回の製品のお話に入りますが、サウンドデザインコンセプトということで3つのテーマを掲げています。「OPENNESS」「EMOTION」「GROOVE」という言葉ですが、それぞれについて、少し掘り下げてご説明をいただけますか?
熊澤 3つの言葉の前にお伝えしたいこととして、これからのヤマハのオーディオ事業は、お客様に提供する音楽体験として「True Sound」という言葉を掲げていきます。この言葉は、まさに音楽の表現者が本来意図した音を伝えようというコンセプトです。ヤマハは音楽制作からライブまで手掛けているので、音、音楽が生まれる瞬間を知っています。アーティストがどのように表現していて、聴き手がどう共感しているのか、ということを知っているメーカーとして、本来あるべきものを表現しよう、という意味が込められています。
これらに共通するのは、静的な意味ではなく、音楽的な、人の心を動かす動的な表現をしっかり表現していこう、ということです。特にハイファイではミュージカリティ=音楽性を強調しています。それを開発に落とし込んでいくサウンドコンセプトとして、「OPENNESS」「EMOTION」「GROOVE」という3つのテーマを掲げています。