• ブランド
    特設サイト
公開日 2011/01/08 13:33

【CES】DTS「Neo:X」対応AVアンプが間もなく発売 − 「本物の3Dサラウンド」技術開発もアナウンス

「Premium Suite」が「II」に進化
ファイル・ウェブ編集部:風間雄介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

DTSブース
DTSはコンベンションセンターのSouth Hallに大規模なブースを構え、同社の最新オーディオ/サラウンド技術を紹介するとともに、その技術を搭載した機器の展示を行っていた。

ブースの中央にシアタールームを用意。11.1chの「DTS Neo:X」デモなどが行われ、来場者にはDTSのデモ用オリジナルBDソフトと、DTSのマークが刺繍されたキャップが配られた。

シアタールーム。11.1chのNeo:Xサウンドが楽しめた。アンプはONKYOのものが使われていた

毎度おなじみ、DTSのデモ用BDソフトとDTSマークが刺繍されたキャップ

■「DTS Neo:X」対応AVアンプは2011年1Qに発売


DTS技術を搭載したAVアンプを展示。まだNeo:X対応機器は置かれていなかった
オーディオビジュアルファンにとって大きなトピックは、11.1ch対応のサラウンド再生技術「DTS Neo:X」に対応したAVアンプが、2011年第1四半期に登場するとアナウンスされたこと。

これは、dts Japan(株)WWフィールド・アプリケーション・エンジニアリング ディレクターの藤阜ォ一氏が明らかにした。メーカー名はまだ非公開だが、現在複数のメーカーが対応モデルを開発しているという。当初はミドル〜ハイエンドモデルが中心になりそうだ。

また藤崎氏は、Neo:Xに対応したプロセッサーも、複数のベンダーと開発を進めていると説明。今後、Neo:X対応機器が増えることは間違いなさそうだ。

「DTS Neo:X」は2ch、5.1ch、7.1chなど、さまざまなチャンネル数の音声を、最大11.1chに拡張して再生する技術。7.1chシステムでは通常、フロントL/R、センター、サイドL/R、サラウンドL/R、LFEのスピーカー配置が用いられるが、Neo:Xの11.1ch再生の場合、これをベースにフロント側にワイドL/R、ハイトL/Rを追加する。

なおDTS Neo:Xでは9.1chに拡張することも可能で、この場合はワイドL/Rスピーカーが省略される。チャンネル数を拡張した後の規格上の下限が9.1chなので、この機能に搭載したAVアンプは最低でも9.1ch出力を備えることになる。

■新技術「DTS Premium Suite II」が登場

これまで、主にPC向けの技術として展開されることが多かった統合サラウンド技術「DTS Premium Suite」。今回、これに新機能が追加され「DTS Premium Suite II」として登場した。

DTS Premium Suiteにはこれまで、DTS-HD Master Audioのデコード機能、PCの内蔵2chスピーカーやヘッドホンでの再生音場を広げる「DTS Surround Sensation | Ultra PC」、ダイナミックレンジを広げて音の明瞭度を上げる「DTS Boost」、コンテンツによる音量レベルのばらつきを自動的に補正・最適化する「DTS Symmetry」などの技術が含まれていた。

今回のDTS Premium Suite IIでは、この従来技術をベースに、さらに4つの技術が追加されている。

まずはSkypeなどIP通話の声を聴き取りやすくする「DTS Clear Voice」。また周囲の雑音の状況に応じて自動的に周波数バランスを整え、ノイズの多い環境でもクリアな再生が行える「DTS Clear Audio」も採用された。

DTS Premium Suiteのコントロール画面

さらに圧縮音声のダイナミックレンジなどを自動調整する「DTS Audio Restortion」や、圧縮音源やネット動画などの帯域バランス、特に高域を持ち上げることで音質を最適化する「DTS Enhance」も、“II"で追加された新機能だ。DTS Premium Suite IIは、従来機能も含めた8つの機能で構成されている。

「DTS Enhance」の効果を示す画面。赤色がもとの音声、緑色がエンハンス後の音声

DTS Premium Suite IIのデモに使われていたONKYO製のノートPC

なお同社ブースでは、DTS Premium Suite IIのデモにONKYOのノートPC「R515」が使われていた。DTS Premium Suite IIを搭載されたPCはまだ市販されていないが、今後の続報を期待したい。

このほか同社ブースには、BDプレーヤーはもちろん、世界中の薄型テレビやIPTVセットトップボックス、ネットワークメディアプレーヤー、スマートフォンなどを展示していた。もちろん、すべてDTSに対応した機器だ。

DTS対応のネットワークプレーヤーは、ますますその数を増やしている

IPTVではベライゾンがVOD配信にDTS-HDを使用することを計画しているほか、各国のIPTV-STBがDTS対応を強化している。スマートフォンでも、韓国や中国などアジアメーカーを中心に、続々とDTS対応機器が増えている。

今後はIPTV-STBでもDTS対応機器が増えそうだ。写真はOrange社がフランスで販売しているSTB

さらに中国の薄型テレビメーカーは、TCLやSkyworth、Haier、Hisenseなど5社が、薄型テレビにDTSデコーダーを搭載しているのだという。これまで韓国メーカーのサムスンやLGは、薄型テレビへのDTSデコーダー搭載を積極的に行ってきたが、この流れが中国メーカーにも飛び火した格好だ。

写真のTCLのモデルなど、DTSに対応した中国メーカー4社の薄型テレビを展示

そのほか、ブースにはDTSのカーオーディオ用技術を紹介するデモカーも用意。衛星ラジオ用の高音質音声フォーマット「DTS Neural Surround」や、コンテンツ間のボリューム調整を自動的に行う「DTS Symmetry」などが体験できた。

デモカーは何とリンカーンのSUV。音もさることながら、車のゴージャスさにもうっとり...

■「本物の3Dサウンド」を実現する新技術を開発中

同社ブースで、dts Japan(株)代表取締役副社長の仁戸田一之氏と、前述の藤侮≠ノインタビューすることができた。

dts Japan(株)の仁戸田氏(左)と藤侮

仁戸田氏は「従来のAV機器だけでなく、IPTV機器やスマートフォン、PCなどに『水平展開』できるのがDTSの強み」と説明。「メーカー様の採用を頂いた結果として、この水平展開を具体的な製品として紹介できていることも重要」と指摘した。

スマートフォンでもDTS対応機器が増えている

auの「IS06」にもDTSデコーダーが搭載されている

また仁戸田氏は「今後IPTVでは、購入したコンテンツを他のデバイスに転送できる技術『UltraViolet』の採用が増えるだろう。そうなると、ますますコンテンツが色々なデバイス間を動き回る」とし、「1つのテクノロジーで低ビットレートから高ビットレートまで様々なデータ量に対応できる、DTSのスケーラビリティーが今後ますます重要になるはず。また、DTSが大事にしてきた下位互換性の意義も増すだろう」と付け加えた。

3Dテレビの普及が進みつつあるが、仁戸田氏に今後の展開を尋ねたところ、3D映像に最適化した、新たなサラウンド技術を開発中であるという。

新技術の内容はまだ明らかにされなかったが、「『3Dサラウンド』という言葉が氾濫しているが、単純なバーチャルサラウンドでも3Dを謳っているものがある。我々は、3D映画の制作者の意図を正確に再現し、映像と一緒に音も飛び出してくるような『本物の3Dサウンド』を追求していく」(仁戸田氏)という。

様々なデバイスへの水平展開を積極化している同社だが、3Dサラウンド技術の新開発でも明らかなように、仁戸田氏は「AV機器を対象にした垂直方向の深掘りは、今後ももちろん行っていく」と力強く語ってくれた。

AVファンにとって、DTSの今後の動向はますます見逃せなくなりそうだ。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX