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公開日 2014/09/07 12:58

<IFA>ゼンハイザーがMOMENTUMシリーズにかける思い ー ダニエル&アンドレアス兄弟CEO基調講演

IFA発表新製品の開発意図が語られる
山本 敦
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IFA2014の開催2日目。ゼンハイザーのダニエル・ゼンハイザー氏、アンドレアス・ゼンハイザー氏の両CEOによるキーノートスピーチが開催され、ゼンハイザーのものづくりの歴史や精神、新製品「MOMENTUM In-Ear」に込めた思いが語られた。

冒頭にメッセ・ベルリン社 IFAグローバル統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏が登壇し「1945年の創立以来、絶えずオーディオの進化をリードしてきたゼンハイザーがこのステージに参加してもらえたことをとても光栄に感じている」と述べ、ゼンハイザーの二人のCEOを壇上に招いた。


アンドレアス・ゼンハイザー氏
アンドレアス・ゼンハイザー氏はIFAとゼンハイザーの関係について触れながら、「IFAとゼンハイザーの関係は1950年以来。互いはいつも一緒に成長してきたと言えるほど長い付き合い。IFAはコンシューマーエレクトロニクス業界に革新をもたらしてきたイベント。私たちゼンハイザーもその間、ある分野のスペシャリストから世界をリードするブランドに進化を遂げてきた。IFAは私たちが開発してきた製品を、多くのコンシューマーの方々に披露するための最も良いコンタクトポイント。そしてゼンハイザーは、お客様のニーズに応えることを最も大事なテーマとしながら進化を続けてきた」とコメントした。


ダニエル・ゼンハイザー氏
続いてダニエル・ゼンハイザー氏がベルリンの街とゼンハイザーの関係をこう語った。「ベルリンはアートや音楽の世界的な流行をリードする街。そしてゼンハイザーは3世代に渡って、音楽エンターテインメントの技術を進化させてきたブランド。だから私たちはIFA、そしてベルリンとずっと親密に関わり合ってきた。ベルリンは我々の祖父であるフリッツ・ゼンハイザー博士が生まれ育った街でもある。彼は技術の進化に人生をかけて、戦後間もない1945年にゼンハイザーを7人のメンバーでゼロから立ち上げた。当時の社名はLabor Wと言ったが、今では私たちはワールドワイドで約2,600人の従業員が集う大企業になった。やがて我々の父であり、2代目の社長であるヤルグ・ゼンハイザーが、ゼンハイザーの販売網とサービスネットワークをグローバルに広げることに成功したことから、現在のゼンハイザーの礎ができた」

ゼンハイザーの創立者であるフリッツ・ゼンハイザー氏(写真右)と、2代目のヤルグ・ゼンハイザー氏(左)

二人はゼンハイザーの3代目の社長となる。ゼンハイザーは独立系の家族経営による企業だ。この経営スタイルにこだわる理由についてダニエル氏は「それが即ち最良な商品をお客様に届けるためにベストな選択だと考えているため。株式を公開しない理由は、経営方針を揺るぎないものとしながら、お客様のために最高の製品をつくることに経営リソースを100%集中させることができるからに他ならない」と説明した。

ゼンハイザーが実現してきた革新を語る上で、避けて通ることのマイルストーンが最初のオープンエア・ヘッドホンである「HD 414」だ。本機は世界で初めてオープンエア型のヘッドホンを実現したことで、「HiFiオーディオのためのヘッドホン」というジャンルを確立した歴史的なヘッドホンとなった。ゼンハイザーがこだわる経営哲学は「あくなき、パーフェクト・サウンドの追求」だとアンドレアス氏は述べる。そして「決して辿り着くことのできないゴールだからこそ、我々は絶えずそれを追い求めながら進化を続けることができる」と強調した。

ゼンハイザーのものづくりにおける精神は、音質・デザイン・技術・アートの全ての側面で、いかなる状況においても「妥協を許さない」ということだとダニエル氏は続ける。「ヘッドホン市場はここ数年来に大きく成長を遂げ、これからも伸長していくと言われている。そのような環境の中で、ゼンハイザーはワールドワイドで50.4%のシェアを堅持しながらマーケットをリードし続けているという調査結果をGfKが紹介している。ゼンハイザーはサウンドとスタイルの、いずれも犠牲にすることなく魅力的な製品を作り続けてきたからだ」


新シリーズURBANITEを身につけるダニエル氏
ダニエル氏は今年のIFAで発表されたヘッドホンの新製品「URBANITE」をその好例として紹介した。本機の企画意図を語ったダニエル氏は「10代後半から30代前後のユーザーを対象に開発したモデルで、やや低域再生に特徴を持たせた音づくりが特徴。ただし、それはやみくもに低音を強くしたというものではなく、繊細で深みのある音を目指したということ。デザインや多彩なカラーバリエーションにもこだわりながら、多くの音楽ファンがゼンハイザーに期待している強靱な本体も実現している。音質に関しては今日のこの壇上で言葉を尽くす必要はないだろう。ぜひ私たちの出展しているブースに来て、ご自身の耳で体験して欲しい」と力を込めて語った。

ゼンハイザーは製品に用いるマテリアルの選択にも格別に注力しているとアンドレアス氏は続ける。「ある新しい素材と出会ったときに、ゼンハイザーのヘッドホンにふさわしいか?採用すれば30年先までも新鮮さを失わずにいられる素材かということまで見据えて真剣に吟味する。その成功事例が、ステンレスやアルカンターラといった素材を本体に活かしながら、世界中でヒットを飛ばしている“MOMENTUM”シリーズだ。今年はMOMENTUMシリーズのさらなる飛躍を遂げるため、初のインイヤーモデルをIFAで発表した。もちろんゼンハイザーにとって、イヤホンは初めての製品ではないが、音質やマテリアルの選択、デザインも含めて新たなチャレンジと呼べる製品だ。その実力はぜひ、ゼンハイザーのブースで確かめて欲しい」

MOMENTUMシリーズへのこだわりを語るアンドレアス氏

MOMENTUM In-EarがIFA2014で発表された

続いて「MOMENTUM」シリーズの魅力を、著名アーティストや一般の音楽ファンたちが動画でつないでいくソーシャルプロジェクト「What's your MOMENTUM」が紹介された。当プロジェクトは音楽やアートを“先へと動かす”アーティストたちが、音楽への情熱を表現する動画を製作し、MOMENTUMの公式サイトで公開。動画にインスパイアされた一般の音楽ファンも、サイトや専用アプリから自身で撮影した動画を投稿して、プロジェクトに“つながる”ことができるというものだ。

サイトに公開されている「MOMENTUM CHAINS」には一般の音楽ファンたちが長さ「7秒」の動画を投稿できるコーナーが設けられている。投稿はPCのブラウザ、またはiOS/Android向けに用意された専用アプリ「What's your MOMENTUM」から行える。


Di Mainstone氏
ダニエル氏は「当プロジェクトには世界を変えるリーダーとなる多くのアーティストに参加いただいた。彼ら、彼女らが目指すものはゼンハイザーのスピリットにぴたりと重なり合った」と説明。スピーチにはプロジェクトに参加して、ニューヨークのブルックリン橋を「大きな楽器」に変えてしまうという、インスタレーションアートに挑んだDi Mainstone氏が駆けつけた。Mainstone氏は「私がニューヨークに住んでいた当時のある日、ブルックリン橋に座って過ごしていたら、道を行く人たちの足音や会話が、絶え間なく繰り返すビートに聞こえてきて、私をインスパイアしてくれた。そこでこの橋をエレガントなハープに見立てて、演奏してみたら面白いのでは?と考えたことが、プロジェクトの始まりだった」とコメント。その動画は、ゼンハイザーのMOMENTUM特設サイトで視聴することができる。

ブルックリン橋を巨大なハープに変えて演奏するというプロジェクトが実現した

アンドレアス氏は「ゼンハイザーはこれからも、コンシューマーからプロフェッショナルまで、エントリーからハイエンドまで、あらゆる音響製品におけるテクノロジーリーダーを目指して進化を続けていくだろう。今日は皆様の前で、その情熱をお伝えしたかった。ぜひゼンハイザーと一緒に、未来に向かって音楽を素晴らしいものに育てて行こう」と呼びかけて、スピーチを結んだ。

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