公開日 2013/11/26 11:12
比較検証! アイ・オーの“高音質設計”NAS「RockDiskNext」でどこまで音が変わるのか?
【特別企画】山之内正が徹底聴き比べ
ネットオーディオ用“高音質設計”の
DSD対応NAS「RockDiskNext」に迫る!
NASはネットワーク再生のかなめとなる重要な機器で、オーディオ製品と同じように筐体の作りやノイズ対策が音質を左右することが知られている。「RockDiskNext(関連ニュース)」は、スマホやタブレットでのストリーミング再生など音楽データの配信を視野に入れて設計した製品で、既存のNASとは一線を画す音質対策を投入したことが新しい。ネットオーディオの視点から注目すべきNASの代表格と言えるだろう。
外見からわかるこだわりを紹介すると、まずはファンレス構造を実現していることが重要だ。SSDモデルなら完全に無音、HDDモデルでも実用上ほぼ無視できるほど動作音は静かで、リスニングルームに安心して設置できる。それだけでも音楽再生には間違いなく有利だが、ケースにアルミ押し出し材を使用したり、スチール製シャーシを採用するなど、共振を抑える工夫も怠っていない。樹脂製ケースに比べて振動の影響を受けにくいため、音質面でのメリットが大きいはずだ。
音楽サーバーとしての役割に重点を置き、DTCP-IPなどの機能をあえて搭載していない点も注目に値する。多機能な製品はたしかに便利かもしれないが、音楽再生に無関係な機能を省略したり、遮断することによって音質が向上する場合がある。それを最初から実現している製品は少なく、本機は貴重な存在だ。
そして、最大の注目点はファームウェアのアップデートによってDSD音源(DSF/DFF)の配信を実現することで、更新後はDSDのネットワーク再生に対応するネットワークプレーヤーやAVアンプと組み合わせて高音質再生ができるようになる。対応するファイル形式を充実させることは音楽サーバーの基本性能に関わる重要なポイントで、特にDSDのサポートは今後のトレンドとして話題が集まっている。低価格NASのDSD対応は本機が先陣を切る存在であり、そのパフォーマンスが注目される。
本当にRockDiskNextは高音質か?
“高音質設計ではないNAS”と聴き比べる
今回の試聴はRockDiskNext以外に3つのNASを用意し、複数の再生機器と組み合わせて聴き比べることがテーマである。用意した再生機器はAVアンプがソニーの「TA-DA5800ES」とパイオニアの「SC-LX87」、ネットワークプレーヤーはパイオニアの「N-30」とマランツの「NA-11S1」という計4台の構成。2機種のAVアンプはDSD音源の再生にも対応するが、SC-LX87はダイレクト再生をサポートし、TA-DA5800ESはPCM変換ながら5.1ch音源(2.8MHz)を再生できるという違いがある。それぞれの再生機器について、NASを交換しながら音の違いを紹介していくことにしよう。
比較対象に用意したA社製の1TB据置型(以下、NAS-A)、B社製の1TB据置型(以下、NAS-B)、C社製の2TB据置型(以下、NAS-C)3台も含め、いずれも内蔵するドライブはハードディスクで、RockDiskNextは2TBのHDDを内蔵する市販モデル(型番:CL2-005LD/2)を使った。メディアサーバーの更新時間やフォルダ表示機能などの設定は、原則として出荷時の設定から変えていない。
※ NAS製品4機種の仕様は以下の通り
・RockDiskNext ¥15,800(税込)…2TBモデル/オーディオ用/ファンレス設計
・NAS-A 市場価格¥33,000前後…1TBモデル/デジタル家電用
・NAS-B 市場価格¥46,000前後…1TBモデル/オーディオ用/ファンレス設計
・NAS-C 市場価格¥28,000前後…2TBモデル/デジタル家電用
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