公開日 2017/06/12 12:15
上質なデザインに機能性/音質を両立。B&O PLAYのワイヤレススピーカー「Beoplay M5」レビュー
『生活空間に潤いのある音楽を』
コンパクトでカワイイのに、先進的な機能性や音質的な実力もしっかり備えている。デザインと機能性を両立させることは難しいが、B&O PLAY はそれを成功させているメーカーの一つだろう。M5と対面した時も「これは良いデザインだな」と直感的に感じた。
直径16.5センチの円筒形、天井部はパールブラストとアルマイト加工が施されたアルミニウム素材で、全体を包むファブリック素材はデンマークの高級テキスタイルメーカー・Kvadrat(クヴァドラ)社とコラボレーションによるものだ。カラーはナチュラル/ブラックの2色が用意されている。
ワイヤレス系はBluetooth/AirPlay/Wi-Fi、有線系はLANと3.5mmステレオミニジャック端子によるアナログライン入力を備えている。ワイヤレススピーカーの枠を超える充実したインターフェイスにより、独立したBluetoothスピーカーとして、もしくはWi-Fi/有線LANネットワークを利用する多機能スピーカーとしても使えるのである。
さらに近年採用の増えているGoogle Castに対応しているので、AndroidスマホやiPhoneなどにインストールするアプリ「Google Home」を利用して、Wi-Fi/有線LAN経由でスマホからの音声ストリーミングに対応する。
数々の先進的な接続機能を備えていることに嬉しくなり、早速試聴を開始した。まずは単体Bluetoothスピーカーとして利用する。機器同士を近づけてワンタッチでペアリング可能なNFCには対応していないが、常にペアリング可能な状態になっているのでスムーズにペアリングできる。
人気ミュージカル映画のハイレゾ楽曲「ラ・ラ・ランド (44.1kHz/24bit FLAC)」を再生した。大きさを考えると想像もつかないような、地を這うような圧倒的な重低音に圧倒される。3/4インチトゥイーターが3基、1.5インチフルレンジドライバーが1基、5インチネオジウムマグネット製ロングストロークウーファーが1基、それを駆動するアンプ30〜40Wクラスが合計4基も搭載されており、小型Bluetoothスピーカーとは一味違う本格的な再生音だ。
また、小型のボティにも関わらず周波数特性は37Hz〜22kHzまでの広帯域を確保している点に注目したい。天板を動かすと音量調整や再生/一時停止の操作ができるのだが、テーブル上に置いて天板を回すと、ゆるりと元に戻るギミックは使い心地良く、ちょっとした操作などでスマホに手をかけなくても良いのは快適だった。
M5は操作性の良いスマホのSpotifyアプリから操作を行い、音声処理を本体で行い音質も担保する「Spotify Connect」に対応する。ダイアナクラールの新譜『ターン・アップ・ザ・クワイエット』を再生すると、試聴室の隅まで心地良い音が届き、360度無指向性という触れ込みが伊達ではないことを実感する。ボーカルは中域が充実しており、ステレオ再生のような独特な臨場感が楽しめることにも感心したが、これは同社の特許技術「Ambient Technology」の採用によるものと推測される。
最後はGoogle Castを利用してスマホ内の音源をWi-Fi経由で試聴する。まずはB&O製品に共通するアプリ「Beoplay」を操作端末にインストールして初期設定を行う。スピーカー設置位置に合わせて3種類のプリセットモード(Free/Wall/Corner)から低域をベストな量に調整することができる。
楽曲はスマホ端末内に保存してある、映画音楽をオーケストラで再現した「ハンス・ジマー『ザ・クラシックス』」を聴く。とにかく低域の再現性が良いので、重厚なオーケストラとの相性は予想以上に良好だ。中低域がしっかりすると音楽の印象がまるで変わってくる。この辺りは小型スピーカーとは隔世の感がある。また外装を囲むファブリックは音を通過させるように開発されており音色もクリアーで、聞き慣れた映画のサントラを情緒感豊かに再生してくれることに嬉しくなってしまった。
M5はスタイリッシュなボディ内に強力なスピーカーとアンプを内蔵することにより、生活空間に潤いのある音楽を満たしてくれる。ワイヤレススピーカーというと、手軽なBluetoothスピーカーも視野に入ると思うが、ちょっと奮発してこのデザインと素晴らしい音を生活空間に入れてみたらいかがだろうか?きっとワンクラス上の上質で幸せなライフスタイルが実現すると思う。