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公開日 2015/07/23 10:55

「AWA」ロングインタビュー。AppleやLINEと競うための “秘伝のタレ” とは?

<山本敦のAV進化論 第63回>
山本 敦
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エイベックスとサイバーエージェントによるジョイントビジネスにより、5月27日にスタートしたストリーミング型定額制音楽配信サービス「AWA」は、アップルの「Apple Music」、LINEの「LINE MUSIC」(インタビュー記事)とともに、いま音楽業界を賑わせている。自分が作成したプレイリスト公開・シェアする機能をユーザーに開放することで独自色を打ち出すAWAの戦略を、取締役/プロデューサーである小野哲太郎氏にインタビューした。同じ楽曲を同じビットレートで再生しても他社サービスより通信データ量を少なく抑えられるなど、サービスの裏側を聞くことができた。

AWA 小野哲太郎氏

■参加レーベルや楽曲数は順調に拡大

AWAのサービスが起案されたのは、開始から約1年前に遡る2014年6月のことだった。5年ほど前から国内で定額制音楽配信サービスをやりたいと語り続けてきたエイベックス・グループ・ホールディングスCEO 松浦勝人氏(AWAでは会長職)の思いに、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏(AWAの社長でもある)が呼応し、実現に向けて急展開したのだという。AWA株式会社はサイバーエージェントとエイベックスの共同出資により設立されたジョイントベンチャー企業だ。サイバーエージェントがサービスの運営を担当し、エイベックスが楽曲調達やレーベルとのやり取りを行うことで役割分担している。アプリ開発はすべてAWAの内製とのことだ。

親会社であるサイバーエージェントは、ブログを中心としたインターネットサービス「Ameba」「ameblo」などで広く知られているが、AWAではamebloとの連携には頼らず、独立したサービスとしてAWAを立ち上げ、大きくしていくことを選んだ。このあたりが、LINEのコミュニケーション機能と音楽を連携させる戦略の「LINE MUSIC」とスタンスが異なる部分だ。実際にAWAは、サービス開始当初はSNSによるシェア機能がなかったが、今ではTwitter、Facebook、LINEでのシェア機能が追加されている。

新たに追加されたシェア機能

AWAで聴けるレーベルの数は、公式には「23」とうたわれているが、実際にはその数が日々増えているそうだ。アプリのダウンロード数についても、100万件以降は詳細が伝えられていないが、こちらもスタート以来増え続けている。数百万でスタートした楽曲数についても、年内目標が500万から1,000万に引き上げられている。「それぞれ順調に目標を超えるスピードで増えています」という小野氏。更新された目標については、今後まとまった数字に到達したタイミングで正式発表を予定しているそうだ。

AWAがスタートしてから、賛否両論、様々な反響が寄せられていると小野氏は語る。「松浦、藤田をはじめとするAWAのスタッフは、このままでは日本の音楽文化が違法な音楽リスニング行為の煽りを受け、衰退してしまうという懸念を強く持っています。だからスタートしてからもしばらく赤字が続くことは覚悟で、身銭を切ってでも健全な音楽文化の発展のために貢献すべきという姿勢を貫いています。AWAはお客様にとって使いやすい音楽サービスを構築しながら、多くの方々に定額制音楽配信サービスの魅力を知っていただくため、全力を注ぐ考えです。もちろんこれはAWAだけでできることではないので、同時期にスタートした他社の音楽配信サービスと切磋琢磨しながら盛り上げていきたいと考えています」。


■2つの料金体系を用意した狙いとは

AWAでは無料トライアル期間が終了した後の月額料金プランとして、360円の「Liteプラン」と、1,080円の「Premiumプラン」の2種類を用意している。トライアル期間中に無料開放されているのがフルサービスの「Premiumプラン」だが、これは既に多くの方が体験されているだろう。これに対して、「Liteプラン」にはいくつかの機能制限が設けられる。サービスや価格設定の背景をうかがった。

取材のようす

「定額制音楽配信サービスの料金体系は、世界各国でおおむね1,000円/月前後に揃いつつありますが、日本国内に定額制音楽配信が浸透するのはまだこれからなので、いきなり月額1,000円を払っていただくというのは、まだハードルが高いのではないかと考えました。そこでLiteプランを設けて2段階にしたわけですが、価格はフィーチャーフォン時代の公式コンテンツとしてスタンダードだった“月額300円”に設定しました」。

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