公開日 2010/06/17 18:05
パナソニックからオールインワン録画テレビVIERA「R2B」が登場 − ケースイが新製品をチェックした
シリーズの開発コンセプトをインタビュー
2011年7月のアナログ停波へ向けて、着々とテレビの買い替えが進んでいる。この夏商戦も薄型テレビの売れ行きは好調そうだ。
筆者には「せっかくテレビを買替えるならこれまで使ってきたテレビよりも便利な製品を選ぶべき」という持論があるが、とりわけ録画機能がついた「レコーダーテレビ」の普及推進を陰ながら応援し続けている。とにかく簡単な操作で、文字どおり“老若男女”が手軽にテレビ録画ができる点が一番の魅力だ。
いよいよレコーダーテレビの本命ともいえる製品がパナソニックから発売される。HDDとBDを搭載したオールインワンのレコーダーテレビ、VIERA「R2B」シリーズの37V型「TH-L37R2B」と32V型「TH-L32R2B」の2機種だ(関連ニュース)。
ますます便利に進化するレコーダーテレビ
本題に入る前に、現在のレコーダーテレビ市場を整理してみよう。当初はHDDを搭載する東芝のREGZA、日立のWoooが市場を牽引しており、パナソニックもHDD搭載機「R1」シリーズを2009年に発売した。シャープもBD録画機能を搭載するAQUOS DXシリーズで参戦し、市場にはHDD録画、BD録画の2タイプのレコーダーテレビが並んだ。
HDDのみ搭載する製品は、比較的長時間の録画が可能だが、安価でハイビジョン番組を残せるBDへのアーカイブができない。パナソニックは同社の単体BDレコーダーDIGAと連携することでBD保存を実現したが、AV機器の操作が苦手な人には、BDレコーダーとつないでのダビングは敷居が高かったように思う。
BDドライブのみを搭載するシャープの場合は、BDディスクに直接録画できるので、ディスクアーカイブには問題ないが、1枚のディスクに録画できる容量が限られてしまう。録画可能時間を気にしながら使うのは、レコーダーテレビの醍醐味を損ねてしまうと筆者は感じるので、これも主流にはなりづらい。
一長一短のあるレコーダーテレビが多いなか、三菱電機がHDDとBDを搭載するREAL BHRシリーズを昨年に発売した。インターフェースとリモコンは使いづらさを感じるが、レコーダーテレビの利便性は格段に高まった。HDDに録画した番組を気軽にBDに保存できるREAL BHRシリーズを使うと、今後のレコーダーテレビの主流は、オールインワンタイプになると、当時から簡単に予想できた。
「レコーダーテレビは、もっとHDDとBDの両方を搭載すべき!」と考えていたさなかに登場したのが、パナソニックのVIERA R2Bシリーズだ。その実力を知るべく一足早く本機の魅力を確かめに取材を試みた。今回インタビューによりお話しを伺ったのは、パナソニック(株)デジタルAVCマーケティング本部 コミュニケーショングループ 広報チーム リーダーの山口耕平氏だ。
パナソニックがオールインワンタイプのVIERA「R2B」シリーズを商品化した理由とは
━━パナソニックVIERAのラインナップの中で、これまで発売されてきた“レコーダーテレビ”の売れ行きはいかがでしょうか。
山口氏:おかげさまでとても好調です。一台でテレビ番組の視聴と録画ができ、しかも“簡単に”楽しんでいただける使い勝手を多くの方々にご評価いただけているようです。弊社実施の調査では、2009年度に国内で出荷されたデジタルテレビのうち、270万台に相当する17%が録画機能を搭載したモデルだったという結果を得ています。さらに本年度は国内デジタルテレビ需要の20%が録画機能付テレビになると予測しています。
━━VIERAにはHDDを内蔵した「R1」シリーズがあり、最新モデルの「R2」シリーズも発売されました。今回さらにHDDとBDの両方を内蔵する「R2B」シリーズが投入された背景を教えてください。
山口氏:R1シリーズは「簡単便利」というコンセプトが多くの支持を集めました。購入いただいたお客様からは「これまでビデオやレコーダーは使えなかったけど、テレビの番組表から直接録画ができるレコーダーテレビなら、番組の録画再生が手軽に楽しめた」というお声を頂戴しています。R1シリーズは、多くの方にお選びいただけるようにラインアップは17型から50型まで幅広く揃えました。一方でR1シリーズがヒットしたことにより、レコーダーテレビをお使いいただいた方から、ご意見、ご要望が増えたのも事実です。中でも多かったのが2番組同時録画とBDへのアーカイブ機能です。このように多くのご要望をいただいたのだから、「さらに便利に簡単に」をコンセプトに今回、BDへのダビング機能を搭載した、オールインワンタイプの「R2B」シリーズを開発いたしました。
━━VIERAにBD録画機能がつくことで、DIGAシリーズの販売が落ち込んでしまうのでは、といった心配はなかったのでしょうか。
山口氏:DIGAをご購入いただくユーザーと、VIERAのレコーダーテレビをご購入いただくユーザーは、ニーズや用途がそれぞれ異なる方々だと考えています。レコーダーテレビを選ぶ方は、シンプルな操作に魅力を感じていて、「別途レコーダーを購入してまで、録画はしない」と考える方が多いように思います。そのためにR2Bシリーズでは、録画したコンテンツを細かに編集する機能などは省いていますし、ハイビジョン放送をAVCRECでDVDに記録する機能もありません。
レコーダーテレビは多機能化させるよりも、より“シンプルに”することが大事な製品カテゴリーだと考えています。操作をより簡単にすることで、いままでテレビ録画をしなかった方々にテレビ録画の楽しさ、便利さに気づいて欲しいというのがVIERA R2Bシリーズのコンセプトです。レコーダーテレビを使ったことがきっかけになって、もっと録画したい、編集も楽しみたいと、次のステップを考えていただいたユーザーの方は、単体のBDレコーダーDIGAを追加で購入いただいているようです。
今回紹介いただいた、パナソニックが実施したレコーダーテレビの売上げに関する調査では、本体に録画機能を「内蔵」している製品が対象になっており、東芝REGZAの一部機種のように、本体に録画機能は搭載していないが、外付けHDDを接続して録画機能が追加されるタイプの製品は含まれていないという。従って、潜在的なレコーダーテレビへのユーザーニーズはもっと多いはずだと筆者は考えている。
レコーダーテレビならエコポイントがもらえる!
レコーダーテレビの普及を後押しするのがいわゆるエコポイントの存在だ。ご存じのようにBDレコーダーなど単体の録画機を購入してもエコポイントはもらえない。アナログ停波になれば、アナログチューナーしか使えないレコーダーもお払い箱になるので、テレビのようにエコポイントをつけるべきだと筆者は考えるのだが…。しかし一方で、レコーダーテレビならエコポイントがもらえるので、エコポイントが実施されている期間中にテレビを購入するならば、断然レコーダーテレビがオトクなのだ。
「VIERAとDIGAの棲み分け」に関する考え方については、筆者もパナソニックのコンセプトが正しいと感じている。そもそも、いくらHDMIによるリンク機能が便利になっても、AV機器の操作が苦手な人にとって、外部接続した録画機を操作するのはまだまだ敷居が高い。ショップに薦められるままテレビとレコーダーを購入したはいいが、レコーダーはほとんど使わない、という声を筆者はよく耳にすることが多い。
レコーダーテレビなら、テレビの番組表から録画でき、視聴も簡単だ。たとえばどんなにAV機器が苦手な人でもテレビの番組表さえ操作できれば、使いこなせるはずだと、筆者は感じている。
VIERA R2Bシリーズはさらに本体だけでBDやDVDのディスクもカンタンに再生できる。BDタイトルは日々増え続けており、最近ではレンタル店でもタイトルが充実してきている。BD内蔵レコーダーテレビなら、BDやDVDの作品を入手後、簡単に視聴できるというメリットもある。
VIERA「R2B」シリーズの操作性をチェックしてみた
本機が搭載するHDDは320GBで、地デジの2番組同時録画に対応している。新たにMPEG-4 AVC/H.264による長時間モードを搭載したので、HDDの容量をより有効に活用できるようになった。長時間モードを使えば地デジを最長230時間も録画できる。「いつでも高画質でなくてもよい。情報番組やバラエティー番組は長時間モードで録画し、映画や音楽番組は標準モード(DR)で録画する」というふうに使い分けができて便利だ。ちなみに長時間モードでもフルHDの解像度は保つことができる。ただし、長時間モードでの2番組録画時には、1番組のみ長時間モードで録画ができ、片方は標準モードとなる。
GUIは従来機種から搭載する「ラクラクアイコン」により、録画番組のリスト表示も直感的に操作できて使いやすい。うれしいことに本機にはオートチャプター機能も搭載されている。この機能は、録画番組にはCMと本編の境界線にチャプターが入力されるので、早見視聴もカンタンだ。2番組同時録画時でも使えるのありがたい。録画機能が便利なだけに、つい多くの番組を録ってしまう。大量に録画した番組を消化していくためにも便利な再生機能は重要なので、その点でも本機は大満足の仕上がりだ。
HDDに録画した番組は、本体内でBDディスクにダビングしたり、DIGAシリーズへLAN経由でダビングもできる。ただしダビング中は新規に録画は行えず、録画番組の再生もできない。ダビング中のマルチタスク操作(番組録画や録画番組の再生)を実現するためには、本体に高い処理能力が必要になるが、より良い使い勝手を求めるならマルチタスクへの対応にも今後期待をしたいところだ。もしダビング中に他の録画ができないのであれば、たとえば録画の空き時間を使った「予約ダビング機能」を搭載すればさらに使い勝手が良くなるはずだ。
R2Bシリーズ単体では録画番組の編集はできないが、DIGAシリーズなどBDレコーダーを持っていれば、R2Bで録画した番組をBD-REにダビングして、BDレコーダーで編集できる。
これまでのレコーダーテレビは、前述したようにHDD録画機能のみ搭載する製品はBDに残しづらいなど、何らかのエクスキューズがあった。しかしR2Bシリーズにはレコーダーテレビに必要な機能の全てが入っており、さらに操作性も練られていて使いやすいと実感した。2010年夏モデルの中では、群を抜く完成度の高さなので、筆者としてベストバイに推薦できる製品だ。サイズが37型、32型となっているが、ぜひパーソナルサイズの20型クラスや、リビング向けの40型クラスのサイズも充実させて欲しい。
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
筆者には「せっかくテレビを買替えるならこれまで使ってきたテレビよりも便利な製品を選ぶべき」という持論があるが、とりわけ録画機能がついた「レコーダーテレビ」の普及推進を陰ながら応援し続けている。とにかく簡単な操作で、文字どおり“老若男女”が手軽にテレビ録画ができる点が一番の魅力だ。
いよいよレコーダーテレビの本命ともいえる製品がパナソニックから発売される。HDDとBDを搭載したオールインワンのレコーダーテレビ、VIERA「R2B」シリーズの37V型「TH-L37R2B」と32V型「TH-L32R2B」の2機種だ(関連ニュース)。
ますます便利に進化するレコーダーテレビ
本題に入る前に、現在のレコーダーテレビ市場を整理してみよう。当初はHDDを搭載する東芝のREGZA、日立のWoooが市場を牽引しており、パナソニックもHDD搭載機「R1」シリーズを2009年に発売した。シャープもBD録画機能を搭載するAQUOS DXシリーズで参戦し、市場にはHDD録画、BD録画の2タイプのレコーダーテレビが並んだ。
HDDのみ搭載する製品は、比較的長時間の録画が可能だが、安価でハイビジョン番組を残せるBDへのアーカイブができない。パナソニックは同社の単体BDレコーダーDIGAと連携することでBD保存を実現したが、AV機器の操作が苦手な人には、BDレコーダーとつないでのダビングは敷居が高かったように思う。
BDドライブのみを搭載するシャープの場合は、BDディスクに直接録画できるので、ディスクアーカイブには問題ないが、1枚のディスクに録画できる容量が限られてしまう。録画可能時間を気にしながら使うのは、レコーダーテレビの醍醐味を損ねてしまうと筆者は感じるので、これも主流にはなりづらい。
一長一短のあるレコーダーテレビが多いなか、三菱電機がHDDとBDを搭載するREAL BHRシリーズを昨年に発売した。インターフェースとリモコンは使いづらさを感じるが、レコーダーテレビの利便性は格段に高まった。HDDに録画した番組を気軽にBDに保存できるREAL BHRシリーズを使うと、今後のレコーダーテレビの主流は、オールインワンタイプになると、当時から簡単に予想できた。
「レコーダーテレビは、もっとHDDとBDの両方を搭載すべき!」と考えていたさなかに登場したのが、パナソニックのVIERA R2Bシリーズだ。その実力を知るべく一足早く本機の魅力を確かめに取材を試みた。今回インタビューによりお話しを伺ったのは、パナソニック(株)デジタルAVCマーケティング本部 コミュニケーショングループ 広報チーム リーダーの山口耕平氏だ。
パナソニックがオールインワンタイプのVIERA「R2B」シリーズを商品化した理由とは
山口氏:おかげさまでとても好調です。一台でテレビ番組の視聴と録画ができ、しかも“簡単に”楽しんでいただける使い勝手を多くの方々にご評価いただけているようです。弊社実施の調査では、2009年度に国内で出荷されたデジタルテレビのうち、270万台に相当する17%が録画機能を搭載したモデルだったという結果を得ています。さらに本年度は国内デジタルテレビ需要の20%が録画機能付テレビになると予測しています。
━━VIERAにはHDDを内蔵した「R1」シリーズがあり、最新モデルの「R2」シリーズも発売されました。今回さらにHDDとBDの両方を内蔵する「R2B」シリーズが投入された背景を教えてください。
山口氏:R1シリーズは「簡単便利」というコンセプトが多くの支持を集めました。購入いただいたお客様からは「これまでビデオやレコーダーは使えなかったけど、テレビの番組表から直接録画ができるレコーダーテレビなら、番組の録画再生が手軽に楽しめた」というお声を頂戴しています。R1シリーズは、多くの方にお選びいただけるようにラインアップは17型から50型まで幅広く揃えました。一方でR1シリーズがヒットしたことにより、レコーダーテレビをお使いいただいた方から、ご意見、ご要望が増えたのも事実です。中でも多かったのが2番組同時録画とBDへのアーカイブ機能です。このように多くのご要望をいただいたのだから、「さらに便利に簡単に」をコンセプトに今回、BDへのダビング機能を搭載した、オールインワンタイプの「R2B」シリーズを開発いたしました。
━━VIERAにBD録画機能がつくことで、DIGAシリーズの販売が落ち込んでしまうのでは、といった心配はなかったのでしょうか。
山口氏:DIGAをご購入いただくユーザーと、VIERAのレコーダーテレビをご購入いただくユーザーは、ニーズや用途がそれぞれ異なる方々だと考えています。レコーダーテレビを選ぶ方は、シンプルな操作に魅力を感じていて、「別途レコーダーを購入してまで、録画はしない」と考える方が多いように思います。そのためにR2Bシリーズでは、録画したコンテンツを細かに編集する機能などは省いていますし、ハイビジョン放送をAVCRECでDVDに記録する機能もありません。
レコーダーテレビは多機能化させるよりも、より“シンプルに”することが大事な製品カテゴリーだと考えています。操作をより簡単にすることで、いままでテレビ録画をしなかった方々にテレビ録画の楽しさ、便利さに気づいて欲しいというのがVIERA R2Bシリーズのコンセプトです。レコーダーテレビを使ったことがきっかけになって、もっと録画したい、編集も楽しみたいと、次のステップを考えていただいたユーザーの方は、単体のBDレコーダーDIGAを追加で購入いただいているようです。
今回紹介いただいた、パナソニックが実施したレコーダーテレビの売上げに関する調査では、本体に録画機能を「内蔵」している製品が対象になっており、東芝REGZAの一部機種のように、本体に録画機能は搭載していないが、外付けHDDを接続して録画機能が追加されるタイプの製品は含まれていないという。従って、潜在的なレコーダーテレビへのユーザーニーズはもっと多いはずだと筆者は考えている。
レコーダーテレビならエコポイントがもらえる!
レコーダーテレビの普及を後押しするのがいわゆるエコポイントの存在だ。ご存じのようにBDレコーダーなど単体の録画機を購入してもエコポイントはもらえない。アナログ停波になれば、アナログチューナーしか使えないレコーダーもお払い箱になるので、テレビのようにエコポイントをつけるべきだと筆者は考えるのだが…。しかし一方で、レコーダーテレビならエコポイントがもらえるので、エコポイントが実施されている期間中にテレビを購入するならば、断然レコーダーテレビがオトクなのだ。
「VIERAとDIGAの棲み分け」に関する考え方については、筆者もパナソニックのコンセプトが正しいと感じている。そもそも、いくらHDMIによるリンク機能が便利になっても、AV機器の操作が苦手な人にとって、外部接続した録画機を操作するのはまだまだ敷居が高い。ショップに薦められるままテレビとレコーダーを購入したはいいが、レコーダーはほとんど使わない、という声を筆者はよく耳にすることが多い。
レコーダーテレビなら、テレビの番組表から録画でき、視聴も簡単だ。たとえばどんなにAV機器が苦手な人でもテレビの番組表さえ操作できれば、使いこなせるはずだと、筆者は感じている。
VIERA R2Bシリーズはさらに本体だけでBDやDVDのディスクもカンタンに再生できる。BDタイトルは日々増え続けており、最近ではレンタル店でもタイトルが充実してきている。BD内蔵レコーダーテレビなら、BDやDVDの作品を入手後、簡単に視聴できるというメリットもある。
VIERA「R2B」シリーズの操作性をチェックしてみた
本機が搭載するHDDは320GBで、地デジの2番組同時録画に対応している。新たにMPEG-4 AVC/H.264による長時間モードを搭載したので、HDDの容量をより有効に活用できるようになった。長時間モードを使えば地デジを最長230時間も録画できる。「いつでも高画質でなくてもよい。情報番組やバラエティー番組は長時間モードで録画し、映画や音楽番組は標準モード(DR)で録画する」というふうに使い分けができて便利だ。ちなみに長時間モードでもフルHDの解像度は保つことができる。ただし、長時間モードでの2番組録画時には、1番組のみ長時間モードで録画ができ、片方は標準モードとなる。
GUIは従来機種から搭載する「ラクラクアイコン」により、録画番組のリスト表示も直感的に操作できて使いやすい。うれしいことに本機にはオートチャプター機能も搭載されている。この機能は、録画番組にはCMと本編の境界線にチャプターが入力されるので、早見視聴もカンタンだ。2番組同時録画時でも使えるのありがたい。録画機能が便利なだけに、つい多くの番組を録ってしまう。大量に録画した番組を消化していくためにも便利な再生機能は重要なので、その点でも本機は大満足の仕上がりだ。
HDDに録画した番組は、本体内でBDディスクにダビングしたり、DIGAシリーズへLAN経由でダビングもできる。ただしダビング中は新規に録画は行えず、録画番組の再生もできない。ダビング中のマルチタスク操作(番組録画や録画番組の再生)を実現するためには、本体に高い処理能力が必要になるが、より良い使い勝手を求めるならマルチタスクへの対応にも今後期待をしたいところだ。もしダビング中に他の録画ができないのであれば、たとえば録画の空き時間を使った「予約ダビング機能」を搭載すればさらに使い勝手が良くなるはずだ。
R2Bシリーズ単体では録画番組の編集はできないが、DIGAシリーズなどBDレコーダーを持っていれば、R2Bで録画した番組をBD-REにダビングして、BDレコーダーで編集できる。
これまでのレコーダーテレビは、前述したようにHDD録画機能のみ搭載する製品はBDに残しづらいなど、何らかのエクスキューズがあった。しかしR2Bシリーズにはレコーダーテレビに必要な機能の全てが入っており、さらに操作性も練られていて使いやすいと実感した。2010年夏モデルの中では、群を抜く完成度の高さなので、筆者としてベストバイに推薦できる製品だ。サイズが37型、32型となっているが、ぜひパーソナルサイズの20型クラスや、リビング向けの40型クラスのサイズも充実させて欲しい。
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。