公開日 2016/09/15 10:00
入門カートリッジ(3)老舗中の老舗、王道中の王道。オルトフォンのド定番モデルはコレだ!
ファイル・ウェブ「アナログレコード特集」
アナログプレーヤーの手軽な、それでいてとても効果的なグレードアップの手段として、カートリッジの交換をお勧めしているこの企画。第3回目の今回は、老舗中の老舗であり、王道中の王道であるカートリッジ界の雄、オルトフォンを紹介していこう。
オルトフォンといえば、現在はスピーカーやアンプ、イヤホンまで、様々なオーディオ製品をラインナップするメーカーとなっているが、アナログプレーヤー用カートリッジがメイン製品であることには変わりがない。そのラインナップも幅広く、DJ用から超高級モデルまで、多数の製品/シリーズがラインナップしている。そのなかでも、今回は“アップグレード”に適した3万円前後までの製品とともに、ベストセラーシリーズなども紹介していこう。
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■オルトフォン「Concorde Qbert」 ¥OPEN(予想実売価格12,580円前後)
[製品詳細]
その名のとおり、超音速旅客機コンコルドのノーズ部分のようなデザインを持つ、DJ向けのMM型アナログカートリッジ。いわゆる“シェル一体型”のボディとなっていて、ヘッドシェルやリード線などを用意する必要なく、そのまま手軽にカートリッジを交換でき、すぐにでも使い始めることができる。
Concordeシリーズは、現在10モデルほどの豊富なラインナップを取りそろえており、それぞれに特徴を持っているが、今回はテーマに合わせて2モデルをピックアップさせてもらった。そのうちのひとつが、このDJ Qbertが監修したモデル「Concorde Qbert」だ。スクラッチの神様と呼ばれるDJ Qbert自身が開発に携わり、スクラッチやバックキューイングにおける針跳びを限りなく抑える事に成功。高出力と耐久性の高さを併せ持つ製品に仕上っているのだが、こういった高耐久性もさることながら、11mVという(MMカートリッジとしても類を見ない)ハイパワーな最高出力によって、パワフルなサウンドを楽しむことができるようになっているのだ。
そのため、ポップスやロックなどとも相性が良く、グルーヴ感の高い、リズミカルなサウンドを楽しむことができる。強弱の表現はやや浅く、音数も多少なり整理されている印象を受けるサウンドキャラクターだが、その分、聴かせどころはしっかりと心得ていて、ヴォーカル、特に女性ヴォーカルは心地よい響きの歌声を楽しませてくれる。本来はガチガチのDJ用なのだろうが、ほどほどのボリュームでイージーリスニング的な聴き方もできる、使い勝手の良い製品だ。
ちなみに、スタイラスは円錐タイプを採用。適正針圧は3gとやや高めの設定となっている。
■クオリティチェック(-2〜2) ・音の表現 広がり重視 ○○|○○ 密度重視(±0) ・音の再現 迫力重視 ●○|○○ 音場重視(-2) ・音の質感 クール ○○|●○ ウォーム(+1) ・帯域表現 低域重視 ○●|○○ 高域重視(-1) ・高域表現 煌びやか ○●|○○ 伸びやか(-1) ・低域表現 硬い ○○|○○ 柔らかい(±0) |
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