公開日 2019/08/16 06:45

エソテリックの旗艦トラポ&DAC「Grandioso P1X/D1X」。その画期的な技術を開発担当者が語る

新設計ドライブ、完全自社設計チップを搭載
昨年11月に開催された「東京インターナショナルオーディオショウ」にて、展示された新しいトランスポートメカニズム「VRDSATLAS」とDAC部「Master Sound Discrete DAC」が大きな話題となったことは記憶に新しい。その新しいフィーチャーを搭載したフラッグシップ・セパレートプレーヤー「Grandioso P1X/D1X」が間もなく発売となる。まさにエポックメイキングといえる新モデルの音は、残念ながら今回間に合わなかったが、季刊・オーディオアクセサリー 173号では、その目指したものやこだわりをエソテリックの企画・開発陣に訊くことができたので、いち早くご紹介したい。

写真右が「Grandioso P1X」¥3,500,000(税抜)、写真左が「Grandioso D1X」¥3,500,000(税抜)

追求する方向性は変わらないが投入された内容は驚くべきもの

初代Grandiosoの「P1」「D1」が登場したのが2013年。そこから6年。3月1日に発売となる第2世代の内容は驚くべきものだった。キャッチコピーは“ONE FLAGSHIP, TWO REVOLUTIONS”。ひとつのフラッグシップにふたつの革新が脈動している。

具体的な内容については以下紹介していくが、ただしエソテリックとして追求しているものは変わっていない。「音楽とは、演奏家がパッセージに込めた情熱であり、瞬間的・爆発的なエネルギーである」というフィロソフィー。これをさらに徹底し、エソテリックというブランドがもっとエソテリックになった、そんな雄叫びのようなものさえ感じるフラッグシップ機の登場だ。

16年ぶりにメカニズムを一新。4つのポイントで進化を遂げた

まずSACD/CDトランスポートが「Grandioso P1X」。16年間基本的な設計を変えてこなかったメカドライブVRDS-NEOがついにVRDS-ATLASに進化した。ATLASとはギリシャ神話の神様。両腕と肩で天の蒼穹を支える神のことだ。回転する天空の中心であり、力や永遠を象徴する。ディスクメディアを再生するメーカーとして、中心的な役割を果たす精神的な意味をこめている。

Grandioso P1Xに搭載される新開発の「VRDSATLAS」トランスポートメカニズム

特徴は4つある。まず「更に高剛性と重量級のコンストラクション」ということで“鋼=ハガネ”、つまりスチールの部材を中心に構成。オープン構造を取っているのは、VRDS-NEOからの流れだ。メカ単体の重量としてはNEOと比較して+27%の6.6s。ベース部も含めると、13.5s。

「低重心でワイド設計」についてはフロントパネル側から見てメカ全体の左右を拡げ、上下方向の高さを抑えた設計に。これには「進化した振動モード・コントロール」の要素もあり、NEOではディスクの上部、VRDSの上部にモーターを位置させていたのに対して、ATLASではディスクの下側に置き、振動のドレーン(排出)を速くしている。

4番目の特徴としては「よりエレガントで静粛なローディング」。ディスクトレイのレールを、NEOではトレイの下側にあったものをATLASでは左右に移設。トレイ全体の形状を見直し、特殊樹脂で振動を吸収するなど、トレイの遊びを封じ込めている。またスピンドルの位置はブリッジの真ん中ではなく、ちょっとズラしてピークを分散し、共振を防いでいる。

その他、エソテリックのオリジナルのデジタル伝送であるES LINKは5に進化し、最大DSD22.5MHz、PCM768kHzまでに対応。4個のトロイダル電源は四隅に分けて配置し、DCレギュレーターもディスクリートで組むなど、全ての回路的、メカ的な能力を高めている。

Grandioso P1Xの背面端子部

次ページDACをディスクリート設計。64bitの高解像処理を実現

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 XREAL、XREAL Oneが入った「開運福袋2026」を12/11から販売。200セット限定
2 HARBETHの魅力は“声”にあり!色褪せぬエバーグリーンなサウンドを、あえてのアニソンで斬りまくる!
3 5万円で激変、“DCリニア電源”をどう使う?トップウイングの「DC POWER BOX」徹底使いこなし!
4 AVIOT、LDACにも対応した1万円切りの“ピヤホン9”「TE-U1-PNK」
5 mora、ハイレゾ配信12周年キャンペーン第2弾スタート。「ハイレゾ大使」には森口博子が就任
6 『続・太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』#2【後編】- かつしかトリオ『“Organic” feat. LA Strings』リリース記念インタビュー
7 AURAS東京、シアターの常識を覆すかんたん操作&美しいデザインの“エンターテイメント空間”をカスタムメイド
8 LG、リアルタイムAIプロセッサー搭載の4K有機ELテレビ「OLED C5M」
9 【Qobuzダウンロードランキング】ブルーノート東京、夏の風物詩!矢野顕子トリオのライブ盤が1位にランクイン
10 Bowers & Wilkins、「801 D4」を六本木ISETAN SALONEにて特別展示。12/25まで
12/12 10:48 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX