本企画ではボーズが次世代のオーディオ再生システムとして提唱する「uMusic」機能の魅力について、ライターの折原一也氏がロングラン・チェックレポートに挑戦する。第1回目では楽曲取り込みと再生、第2回目では学習機能の使いこなしを紹介してきたが、レポートの総括となる今回は 「uMusic」の大きな魅力のひとつである「インテリジェントナビゲーション」の魅力を徹底解明していく。
※今回のロングラン・チェックレポートではLifestyle
48の米国仕様モデルを使ってテストしています。日本国内で販売されている製品では全てのGUIが日本語表示に対応します。
■マシンインテリジェンスはどれほど筆者の好みに応えるのか
「uMusic」のロングラン・チェックレポート最終回では、前回のレポートに引き続き「uMusic」の使用感から紹介していこう。取り込みの際に楽曲の特徴を解析して、ユーザーの手によって楽曲への評価を与えることで学習する「マシンインテリジェンス」は、どれだけ筆者の好みを反映する結果となったのだろうか。
「uMusic」では、シチュエーションや使用するユーザーごとにプリセットを登録しておくことで、状況に応じた選曲を進めさせることができる。前回のレポートでは、普段を音楽聞く「Relax」、仕事をしている最中に用いる「Work」、落ち着いた音楽を聴きたい場合の「Easy」の3つを登録したことをご紹介したが、その後それぞれのプリセットを使い込んできた結果を報告していこう。
■3つのプリセットはこのように成長を遂げた
これらのプリセットの違いは、やはり選曲の違いとなって現れた。「Relax」では、今回バリエーション豊かなアーティストの名盤を取りそろえたためためか、頻出したアーティストも「The
Rolling Stones」「Pet Shop Boys」「The Ventures」「Rage
Against the Machine」「Blur」「Sonic Youth」「New
Order」など幅広い。ただし完全にすべての曲が均等に再生される訳ではなく、好みの曲が中心にかかるようになったのが学習の進んだ結果だろう。「Works」のプリセットでは「Relax」以上にかかる曲がばらける結果となったが、耳に付くエレキギターを聞かせる曲が現れなくなっていたのが大きな違いだ。
プリセットが学習してく過程がもっとも面白かったのが最後に使い始めた「Easy」である。レイティングを始めた直後は「Elton
John」など収録曲数の多いアーティストに極端に偏っていたものが、他のアーティストが現れた際にプラスのレイティングを加えると、それに連想される他の曲が現れるようになった。これは、一つの曲にレイティングを与えると同じような傾向を持った他の曲の評価も上がっていくという仕組みによるもので、その結果「Bob
Dylan」「Billy Joel」「David Bowie」「The Capenters」など、アコースティックギターとピアノで聞かせる曲など、落ち着いたサウンドの流れるプリセットが出来上がっていった。
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▲プリセットの切り換えはリモコンの数字による変更に加えて、「Setting」メニューを開くことで画面上からも変更できる
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▲じっくりと音楽を聴きたい時によく使ったのが「Relax」のプリセットだ。気に入った曲に積極的にプラスのレートを付けていったが、学習の結果は幅広い曲が現れた
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▲デスクに向かっている最中のBGMとして用いたのが「Work」のプリセットだ。こちらは聞きたくない曲を避けるようにレートするに止めたため「Relax」以上に多彩な演奏となった |
▲落ち着いて聞ける曲のみを聴きたいときの「Easy」は、落ち着ける曲と耳に付く曲それぞれにプラスマイナスを付けた。結果、かなり徹底された選曲が行われるようになった |
■「uMusic」の“使いやすさ”をここに発見した
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▲リモコンのボタンだけで気軽にレイティングができる点が「uMusic」の使いやすさを高めている重要なポイントであると感じた |
Lifestyle 48の「uMusic」を使った音楽視聴は、想像以上に面白いものだ。何より一度CDから取り込んでしまえばジュークボックス感覚で音楽が楽しめ、気になる曲はすぐに曲名を確認できるというのは思いのほか使いやすい。また、プリセットによる学習が進むと自分の好みの曲を中心に選曲されるようになり、その使いやすさは代え難いものになる。Lifestyle
48のほかにもポータブルオーディオのiPodなど音楽を取り込んで再生するストアードミュージックが広がりつつあるが、その中でもレイティングによって好みを学習する「uMusic」の使いやすさは一歩進んだものに思える。特にリモコンからボタン一つでレイティングができる点が使い勝手を良くしている。まさに機械の存在を意識せず、音楽に浸ることに特化された仕様であると言えるだろう。
そして、今回のハンドリングで強く感じられたのが、「uMusic」を使うことによって筆者が音楽に触れる機会が大きく増え、加えて自分の音楽の好みを再確認できたということだろう。CDライブラリーが増えてくると音楽を聞く際の選曲に頭を悩まされることは多いが、自分の音楽の好みを発見しながら快適に音楽が楽しめたことはとても面白い体験だった。
■「uMusic」がホームシアターのトレンドを切り拓いてゆく
ホームAVを巡る環境は現在大きく変わりつつある。音楽の視聴環境はデジタルオーディプレーヤーの登場により、音楽再生のメディアでは遂にディスクからハードディスクへの交代が始まり、音楽の快適な楽しみ方に幅広いユーザーからの注目が集まることになった。また薄型大画面テレビの登場とデジタル放送の普及により、サラウンド放送が一般的になるホームシアターの側面からも、新たな製品が求められるようになっている。Lifestyle
48はその両方に新たな体験をもたらす製品として、まさに現在ホームエンターテインメントのニーズに即した製品と言えるだろう。
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▲今回全3回に渡る「uMusic」ロングランチェックレポートが展開された筆者・折原氏のテストルーム |
今回のレポートではLifestyle 48の「uMusic」機能にフォーカスを当ててレポートしてきた。Lifestyle
48の魅力は小型のスピーカーと専用のスタンドとを合わせてスタイリッシュに設置ができ、ホームシアターのトータル環境を豊かにするその完成度にある。
3ヶ月に渡ってLifestyle 48を常用してきたが、ホームオーディオのトレンドと言える、音楽を取り込むストアードミュージックと上質なサラウンド環境を、一つのパッケージとしてかたちにしたアプローチには感心させられるばかりである。Lifestyle
48が切り拓く新たなライフスタイルを体験してみてほしい。
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