今回の第一のリファレンスとして取り上げるのが、バンダイビジュアルが発売するアニメ映画『機動警察パトレイバー 劇場版』のBD/DVD/VHSだ。バンダイビジュアルでは2007年夏より『メトロポリス』『戦闘妖精雪風』など、国内クリエイターによるBlu-ray Discを続々リリース。緻密に作り込まれた高品位な映像や音声は、アニメファンのみならず映画ファンにも強くお薦めしたいクオリティだ。
まずはBDの視聴を行った。1989年公開の本作品は、CGではなくセル画で作られフィルムで公開された作品だが、Blu-ray版の映像は度肝を抜くほどに完成度が高い。今回は作品冒頭の、自衛隊の暴走レイバーとの戦闘シーンを集中的に視聴した。何度となく見た作品でも、HDクオリティで見直すと新たな発見がいくつもある。冒頭の夕焼けの色が滲まず、筆のタッチまでも見えてしまいそうなほど高精細だ。夜の街や森のシーンも、暗部が潰れず細部まで情報を観てとることができる。画の輪郭線もクッキリと冴えており、「一皮むけた」映像であると感じた。また、フィルム特有のグレインも巧みに残され、映画らしい味わいもある。
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▲リファレンスには『機動警察パトレイバー 劇場版』を使用した(クリックで拡大) |
▲迫力の音と映像に見入る折原氏 |
冒頭では、シーンと音楽が一体になって進む洗練された構成にも注目したい。音声トラックにはBD用にリファインされた5.1ch音声を収録しており、音楽スコアの奥深さが格段に広がった印象だ。兵器の移動音も無機質な重低音と金属音で、周囲に配置したスピーカーから迫力を持ってこちらに響いてくる。クライマックスの集中砲火の音も移動感があり、音の一つ一つを識別できるため、作品がより一層のリアリティを持ってこちらに迫ってくる。
続いてVHS版、旧DVD版を用意して、“Lifestyle V30”のアップコンバート機能を使用してみた。その効果はアップコンバートを行わない映像と比べると一目瞭然だ。アップコンバートを行わないと、VHSは色の滲みやぼやけ感が目につくが、Lifestyle V30を通すことで、それらが解消されセル画特有の線もクリアに表示される。加えて色が鮮やかさを増し、生き生きとした映像を楽しむことができた。旧DVD版ではVHSから更に状態が良くなり表示もクリアになるため、ハイビジョンらしいアニメ映像になる。手持ちの作品を高画質で楽しめる“Lifestyle V30”の性能をしっかりと確認することができた。
今回は上記の『機動警察パトレイバー 劇場版』に加え、普段視聴している最新のBD-ROMの作品から数タイトルをピックアップしてみた。
最初にテストした『カーズ』は美麗なCGアニメーション作品で、大歓声のスタジアムでロックに載せてカーバトルを繰り広げる冒頭シーンが見所だ。ボーカルがフロントの高い位置から響くなか、同時にカー映画の決め手となるエンジン音の響き方が量的な迫力で再現され、サラウンドチャンネルからも轟音を立てて抜く際のキレと余韻が見事だ。微かに響くスタジアムの歓声は高みから降り注ぎ、“Lifestyle V30”はつくづく空間の再現に優れたシステムであると感心した。
映画の醍醐味・アクションも聴かせてくれる。『ダイハード4.0』も、単純な爆音だけでなく音作りの面白さに魅せられる作品だ。その本領を発揮するのがチャプター5の銃撃シーンで銃撃と臨場感を盛り立てるスコアが交互に視聴者を襲う。スコアは演奏している姿が浮かぶほどの音場を持ち、その張りつめたサウンドが空気感として作品に投射される。野太く押し殺したような銃声は本作品ならではの面白い音作りで、サラウンドチャンネルから繰り出される爆発的なエネルギーに圧倒される。この緩急の上手さは“Lifestyle V30”による視聴で気づいた一つの発見だった。
最後にテストした『アンジェラ・アキ MY KEYS 2006 in 武道館 Blu-ray Disc』は2chのリニアPCMを使いピアノ弾き語りのサウンドのクオリティを限界まで引き出している。レンジいっぱいに収録した音は、“Lifestyle V30”を使用すると、息づかいまで手に取れるようなリアリティを持って聞こえてくる。コンサート会場の空気を自宅のリビングでそのまま再現できる好例だろう。
コンパクトなボディに同社最新鋭の技術を搭載した“Lifestyle
V30”は、次世代のLifestyleシステムとして大幅な進化を遂げている。膨大なVHS資産を所有している読者は多いことと思うが、本製品を使用することにより、アップコンバートした鮮やかな映像と迫力の音声とで、新たな魅力を発見することもできるのだ。薄型大画面テレビ、BDプレーヤーなどと併せて“Lifestyle
V30”を揃え、リビングのホームシアターで手軽に大迫力の映画を楽しむ新たなライフスタイルに踏み出してみよう。 |