【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
毎月連載のPhile-web特別企画「Sound Adventure(サウンド・アドベンチャー)」では、オーディオ・ビジュアルエンターテインメントの最前線で活躍される評論家の方々を「ナビゲーター」に迎え、いま最も注目を浴びるデジタルエンターテインメントのスタイルを徹底探求します。最新オーディオ・ビジュアル製品のレビューやハンドリングレポートも毎回紹介して行きます。
【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム

自宅のリビングで、大画面テレビとホームシアターシステムを使用して迫力の映像と音声を楽しむ ー 今回取り上げるボーズのホームシアターシステム“Lifestyle V30”は、そんなライフスタイルを実現してくれるだけでなく、次世代光ディスクを使った最先端のハイクオリティ環境を手軽かつスマートに作り上げてくれる、プレミアムな製品なのだ。

同社ではこれまで、DVDプレーヤーやアンプ、マルチチャンネルスピーカーシステムをセットにした「Lifestyle」シリーズを展開してきたが、“Lifestyle V30”のシステムは、メディアセンターからDVDプレーヤーを省略。新たにBlu-ray DiscやHD DVDのレコーダー/プレーヤーなどとの接続を可能とするHDMI Ver1.1入力端子を2系統搭載し、外部機器との接続性を高めている。

今回視聴したシステム
BOSE 
ホームシアターシステム
Lifestyle V30 (Lifestyle V-Class)
¥367,500(税込)

>>ボーズの製品紹介ページ
>>製品データベースで調べる
音響性能の高さ、簡便な操作性、複数の機器と接続できる発展性、シンプルに設置できるエレガントさを備えた同社ホームシアターシステムのフラグシップモデル。DVDプレーヤーを省略しHDMI端子を新たに搭載したメディアセンター部と5つの小型サテライトスピーカー、ベースモジュールから構成され、豊かで迫力ある音を楽しむことができる。さらにビデオのアップコンバート/アップスケーリング(1080pまで)にも対応する。

それぞれのコンポーネントには、ボーズの最新のテクノロジーがふんだんに盛り込まれている。オーディオ技術から触れていこう。付属するサテライトスピーカー“JewelCube”は、40以上の技術が注ぎ込まれており、小型化と高音質を両立。強力なネオジウムマグネットドライバーを使った口径わずか50mmのスピーカーは拳ほどと極めてコンパクトだが、小さな筐体からは想像もつかない、ボーズならではの迫力の音質を導き出せる。

センタースピーカーは横置きで、サテライトと周波数特性と指向性を揃えている。インパクトあるベースモジュールはボーズ独自の“2チャンバーアクースティマス方式”によって、充実した低音が唸りを上げる。

今やホームシアターには欠かせないものとなったデジタル音場補正技術には、ボーズ独自の“ADAPTiQ”を採用。測定時にはヘッドセット型の測定マイクを使い、部屋内の5箇所の視聴ポイントで測定することで、多人数で視聴する際にも全員がサラウンド効果を最適に体感できる。独自技術「BoseDigital」(ボーズデジタル)技術により、ステレオ音声も5.1chサラウンドとして楽しむことが可能だ。

▲薄型テレビを中心としたシアターシステムにマッチする。センタースピーカーは横置きだ ▲サテライトスピーカー。角度を調節して反射音を利用することも可能
▲「2チャンバー・アクースティマス方式」で豊かな低音を再生するベースモジュール ▲ヘッドセット型の測定マイク(クリックで拡大)

“Lifestyle V30”のもう一つの目玉がメディアセンターが搭載する映像技術だ。映像・音声をケーブル一本で接続できるHDMI入力端子(Ver.1.1)を搭載したことで、ケーブル接続をよりスマートに解決。さらに、ビデオのアップコンバート/アップスケーリング機能も備えた。コンポジット・S端子・コンポーネント映像入力端子からの映像も1080pにアップコンバートしてHDMI端子から出力することができ、DVDやVHSビデオといった従来のメディアの映像も、高品質で視聴することが可能なのだ。

▲メディアセンターとボリュームなどを表示する表示パネル。 ▲メディアセンターのリアパネル部(クリックで拡大)

また今回、メディアセンターから表示部を独立させ、設置の自由度も高めている。表示パネル部は電源のON/OFFや入力切り替えなどの基本操作も行えるため、例えばメディアセンターをテレビラックの中にすっぽりと収納してしまい、表示部だけを表に配置すれば、シアターをスッキリとスマートにまとめることが可能だ。

今回の第一のリファレンスとして取り上げるのが、バンダイビジュアルが発売するアニメ映画『機動警察パトレイバー 劇場版』のBD/DVD/VHSだ。バンダイビジュアルでは2007年夏より『メトロポリス』『戦闘妖精雪風』など、国内クリエイターによるBlu-ray Discを続々リリース。緻密に作り込まれた高品位な映像や音声は、アニメファンのみならず映画ファンにも強くお薦めしたいクオリティだ。

まずはBDの視聴を行った。1989年公開の本作品は、CGではなくセル画で作られフィルムで公開された作品だが、Blu-ray版の映像は度肝を抜くほどに完成度が高い。今回は作品冒頭の、自衛隊の暴走レイバーとの戦闘シーンを集中的に視聴した。何度となく見た作品でも、HDクオリティで見直すと新たな発見がいくつもある。冒頭の夕焼けの色が滲まず、筆のタッチまでも見えてしまいそうなほど高精細だ。夜の街や森のシーンも、暗部が潰れず細部まで情報を観てとることができる。画の輪郭線もクッキリと冴えており、「一皮むけた」映像であると感じた。また、フィルム特有のグレインも巧みに残され、映画らしい味わいもある。

▲リファレンスには『機動警察パトレイバー 劇場版』を使用した(クリックで拡大) ▲迫力の音と映像に見入る折原氏

冒頭では、シーンと音楽が一体になって進む洗練された構成にも注目したい。音声トラックにはBD用にリファインされた5.1ch音声を収録しており、音楽スコアの奥深さが格段に広がった印象だ。兵器の移動音も無機質な重低音と金属音で、周囲に配置したスピーカーから迫力を持ってこちらに響いてくる。クライマックスの集中砲火の音も移動感があり、音の一つ一つを識別できるため、作品がより一層のリアリティを持ってこちらに迫ってくる。

続いてVHS版、旧DVD版を用意して、“Lifestyle V30”のアップコンバート機能を使用してみた。その効果はアップコンバートを行わない映像と比べると一目瞭然だ。アップコンバートを行わないと、VHSは色の滲みやぼやけ感が目につくが、Lifestyle V30を通すことで、それらが解消されセル画特有の線もクリアに表示される。加えて色が鮮やかさを増し、生き生きとした映像を楽しむことができた。旧DVD版ではVHSから更に状態が良くなり表示もクリアになるため、ハイビジョンらしいアニメ映像になる。手持ちの作品を高画質で楽しめる“Lifestyle V30”の性能をしっかりと確認することができた。

今回は上記の『機動警察パトレイバー 劇場版』に加え、普段視聴している最新のBD-ROMの作品から数タイトルをピックアップしてみた。

最初にテストした『カーズ』は美麗なCGアニメーション作品で、大歓声のスタジアムでロックに載せてカーバトルを繰り広げる冒頭シーンが見所だ。ボーカルがフロントの高い位置から響くなか、同時にカー映画の決め手となるエンジン音の響き方が量的な迫力で再現され、サラウンドチャンネルからも轟音を立てて抜く際のキレと余韻が見事だ。微かに響くスタジアムの歓声は高みから降り注ぎ、“Lifestyle V30”はつくづく空間の再現に優れたシステムであると感心した。

映画の醍醐味・アクションも聴かせてくれる。『ダイハード4.0』も、単純な爆音だけでなく音作りの面白さに魅せられる作品だ。その本領を発揮するのがチャプター5の銃撃シーンで銃撃と臨場感を盛り立てるスコアが交互に視聴者を襲う。スコアは演奏している姿が浮かぶほどの音場を持ち、その張りつめたサウンドが空気感として作品に投射される。野太く押し殺したような銃声は本作品ならではの面白い音作りで、サラウンドチャンネルから繰り出される爆発的なエネルギーに圧倒される。この緩急の上手さは“Lifestyle V30”による視聴で気づいた一つの発見だった。

最後にテストした『アンジェラ・アキ MY KEYS 2006 in 武道館 Blu-ray Disc』は2chのリニアPCMを使いピアノ弾き語りのサウンドのクオリティを限界まで引き出している。レンジいっぱいに収録した音は、“Lifestyle V30”を使用すると、息づかいまで手に取れるようなリアリティを持って聞こえてくる。コンサート会場の空気を自宅のリビングでそのまま再現できる好例だろう。

コンパクトなボディに同社最新鋭の技術を搭載した“Lifestyle V30”は、次世代のLifestyleシステムとして大幅な進化を遂げている。膨大なVHS資産を所有している読者は多いことと思うが、本製品を使用することにより、アップコンバートした鮮やかな映像と迫力の音声とで、新たな魅力を発見することもできるのだ。薄型大画面テレビ、BDプレーヤーなどと併せて“Lifestyle V30”を揃え、リビングのホームシアターで手軽に大迫力の映画を楽しむ新たなライフスタイルに踏み出してみよう。

今回リファレンスに使用したソフト

機動警察パトレイバー 劇場版(左からBD/DVD/VHS)
発売元 ・販売元:バンダイビジュアル
【BD版】BCXA-0003 BD/DVDセットボックス ¥10,290(税込)
 音声:日本語 ドルビーTrueHD(5.1ch)/リニアPCM(ドルビーサラウンド)
    英語 ドルビーデジタル(5.1ch)
 字幕:英語
【DVD版】BCBA-1780 ¥6,090(税込)
 音声:日本語 ドルビーデジタル(5.1ch)/ドルビーデジタル(ドルビーサラウンド)
【VHS版】*現在生産中止

【ソフトについての問い合わせ先】バンダイビジュアルお客様センター
 TEL/03-5828-7582

 >>バンダイビジュアル 公式作品情報サイト
執筆者プロフィール
折原一也 Kazuya Orihara
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。
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