【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
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毎月連載のPhile-web特別企画「Sound Adventure(サウンド・アドベンチャー)」では、オーディオ・ビジュアルエンターテインメントの最前線で活躍される評論家の方々を「ナビゲーター」に迎え、いま最も注目を浴びるデジタルエンターテインメントのスタイルを徹底探求します。最新オーディオ・ビジュアル製品のレビューやハンドリングレポートも毎回紹介して行きます。
【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム

今回はDVDプレーヤー付きフロントサラウンドシステム「3・2・1GS II」をフィーチャー。折原一也氏がその音を視聴レポートするほか、普段の生活やスポーツイベント観戦をより楽しむための活用方法も提案します。

“フロントサラウンド”という言葉をご存じだろうか?薄型大画面テレビを揃えて映画、ゲーム、スポーツ観戦を楽しんでいるけれど、音質の面にやや不満を感じている……そんな“音”に思い入れのあるユーザーに、“フロントサラウンドシステム”を是非おすすめしたい。

フロントサラウンドとは、テレビにプラスアルファで追加できる外付けサラウンドシステムだ。通常のサラウンドシステムだと、テレビの横にあたる前方のほかに背後にもスピーカーを並べ、スピーカーを6つも設置・配線する必要があるが、フロントサラウンドならば前に置いたスピーカーだけのシンプルな構成でサラウンド音声を楽しむことができる。前方のスピーカーだけでサラウンド効果はどれだけ出るの…?と疑問に思うかもしれないが、各社各様のバーチャルサラウンド技術によってリアル5.1ch分さながらの空間を持ち、迫力満点の音も体感できるのだ。

導入が手軽で、確かなサラウンド効果を得られる。まさに家庭のテレビの音のグレードアップにピッタリな機器として大人気のジャンルになっているのも、頷けるところだろう。

さて、そんな“フロントサラウンド”の代表格と言えば、米国発のスピーカーブランドBoseだろう。古くから高音質な超小型スピーカーに高い技術を持つBoseは、ホームシアター市場向けに幾つものフロントサラウンド製品を投入している。

今回注目したのは、その代表モデルのひとつであるBoseの3・2・1GS IIだ。

BOSE
DVDホームシアターシステム
3・2・1GS II
¥167,790(税込)
>>ボーズの製品紹介ページ
>>製品データベースで調べる


3・2・1GS IIは、ジュエルアレイスピーカー2本に重低音を補うベースモジュール、DVD/CDプレーヤーを一体化させたメディアセンターで構成されている。テレビやスクリーンのすぐ脇に置くことになるジュエルスピーカーはこぶし大程度の超小型サイズで、これほどに省スペースに置けるシステムはそうはない。

メディアセンター部(左)とベースモジュール(右) CD/DVDプレーヤー部。天板には「3・2・1」のロゴも刻印されている。シンプルでどんな部屋にもマッチする佇まいだ

ベースモジュールとの配線も分かりやすいケーブルでシンプル化されており、DVD/CDプレーヤーを兼ねるメディアセンターは光デジタル端子入力によってデジタル放送の音声も受け付ける汎用性も確保している。

142W×66H×107Dmm/440gという小型さながら驚くような音を再生してくれるジュエルアレイスピーカー 専用ケーブルでペースモジュールとジュエルアレイスピーカーを接続。フロアスタンド「GFS-20S」を使用すればスタンド背部にケーブルをスッキリ収められるので、見た目もスマートだ

実際に3・2・1GS IIのサウンドを設置して視聴してみたところ、“フロントサラウンド”という言葉のとおり、前方だけで完結する設置の容易さとスピーカーの小ささ、そして侮れないサウンドには改めて驚かされた。

DVD作品はジェット・リー主演のアクション『ブラック・ダイヤモンド』を中心に視聴したところ、高音がキレ遠くまで見通せる空間の広がりは素晴らしいし、豊かな低音を再現してくれるベースモジュールの響きが緊迫感を盛り上げる。特にフロントサラウンドの恩恵として、超小型のスピーカーとは思えない程に高さ方向の距離感が出てくるため、映像の世界に引き込まれる感覚が出てくるのがいい。もう一つ意外に相性良しと感じたのが、古いモノラル映画で申し訳ないが黒澤明監督の『羅生門』。3・2・1GS IIの採用するBose Digital技術がいいのか、テレビ内蔵のスピーカーで聞くのとは違った、モノラルでも空間を持った、古い映画を映画館で鑑賞するような響き方を出せるのは感心した。

音楽CDの再生はダイアナ・クラールのムーディーなJAZZアルバム『The Girl in the other room』との相性がすこぶる良かった。ピアノを弾きながら歌うハスキーな低音のボーカルとウッドベースは、3・2・1GS IIの再現力とピタリとマッチしていて、空気を一変させてくれるほどにリッチなサウンドで部屋を満たしてくれた。小型なだけのシステムなら他にもあるが、3・2・1GS IIはこのサイズで“味”とも言える、独自の雰囲気ある音を持つ。これは高く評価できる点だ。

“フロントサラウンド”の魅力は、テレビにプラスアルファして音質面でパワーアップできるだけにとどまらない。Boseの3・2・1GS IIのようにシンプルで取り回しの良いフロントサラウンドシステムならば、よりアクティブに家庭内の様々なシチュエーションで活躍してくれる。

例えばリビング。フロントサラウンドが普段から鎮座するベストスポットは、夕食の後に家族で集まって映画を見る大画面テレビのあるリビングがぴったり。いつも楽しんでいるアニメの映画やスペクタクル大作も、フロントサラウンドシステムを使うことで“音”の迫力が加わり、映画館から足が遠のいていた映画ファンも新鮮な感覚で楽しめるようになるはずだ。

天井吊り・壁掛けブラケット「CW-20S」(¥2,625・税込/1個)も用意されており、スマートなシアターをつくることができる

子供達がゲームに興じるキッズルームで使ってみてもいい。大人気の体感型ゲームのWiiは大画面のテレビ、はたまたホームシアターファンの家庭なら大スクリーンと組み合わせてプレイしているかもしれないが、体を動かして遊べるWiiは大画面+サラウンドでプレイすると文字通りゲームの世界に引き込まれる感覚で楽しめる。Wiiのゲームは5.1ch対応で製作されているため、既にWiiをプレイする人も一度は試してほしい遊び方だ。

マルチチャンネル音声収録されたゲームも登場。フロントサラウンドシステムを使ってサラウンドで楽しむことで、プレイする興奮がより高まる

また、北京五輪も目前に控えて友人達を家に集めてホームパーティースタイルで大人数で楽しむ際にもフロントサラウンドを活用できる。特にリビングなどに動かして設置できるようなプロジェクターを導入している人は、庭やオープンデッキのスペースを広々と使って、半屋外で視聴してみてはいかがだろうか?迫力の音と外の空気を肌で感じることができ、楽しめるだろう。

シンプルな構成で設置が簡単なため、このようなちょっとした非日常演出も楽しむことができる

ホームシアターと聞くとついつい身構えてしまいがちだが、フロントサラウンドなら導入も手軽で、テレビプラスアルファの“音”を強化できる。さらに取り回しの良さを活かした活用法を視野に入れれば、十分に元の取れる買い物をできるはずだ。いよいよ世紀のスポーツイベント開催が間近に迫った今からでも遅くはない。ご自宅にフロントサラウンドシステムを導入して、迫力の音を楽しんでみてはいかがだろうか。

執筆者プロフィール
折原一也 Kazuya Orihara
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。

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