■「iPod」と「SoundDock」で好みのBGMが楽しめるレストランが誕生した

デジタルオーディオプレーヤーの普及によって、外出先でも自分が普段楽しんでいる音楽に触れられる環境はさらに広がりつつある。今回は音楽との新しい関わり方を提案する施設として、7月15日に東京・渋谷の神南坂FRAMEにオープンした「Carino（カリーノ）」「Camelot Court（キャメロットコート）」の画期的なサービスをご紹介しよう。

カリーノ・キャメロットコートは、「cafe club FURA」「club THE EARTH」など人気クラブを手がけた株式会社ジンテージのプロデュースによるクラブ、レストラン、ラウンジを併せた複合施設だ。渋谷をエンターテインメントの拠点とする大人のための上質な空間とサービスをコンセプトとしており、レストラン、アネックス、ラウンジにより構成されるカリーノとクラブ・キャメロットコートから成る。

▲渋谷にオープンしたレストラン「Carino」には、全13室の個室にiPodとSoundDockが設置され、上質な空間の中で、好みのBGMを本格サウンドで楽しむことができる

今回はカリーノのレストランの個室全13席にて提供する、アップルの「iPod」とボーズの「SoundDock」によるサービスに注目してみたい。ボーズのSoundDockはアップルのデジタルオーディオプレーヤーiPodとケーブルレスでドッキングが可能な専用サウンドシステムだ。従来からリビングなどの据置環境でiPodを使って音楽を聴くためのアイテムとして人気を集めている製品だが、カリーノのような大規模なレストランの個室に設置されるケースは今回が初めての試みとなる。個室にセットされているSoundDockでは、店舗が用意したiPod miniに収録されている楽曲が楽しめるほか、レストランを利用する来客が自分のiPodを接続して思い思いの音楽を楽しむことができる。クラブには音楽を楽しみにやってくる方も多いと思うが、店舗が提供するBGM以外にも自分のお気に入りの音楽を持ち込んで店の中で楽しめるというコンセプトはとても画期的だ。

■デジタル音楽の最先端をみつめる店舗のコンセプト

カリーノ・キャメロットコートのサービスと店舗のコンセプトについて、今回は株式会社ジンテージ・企画部の並木由里子氏と音楽面のプロデュースを担当されたDJ�KOTANI（小谷朋寛）氏にお話を伺うことができた。

▲ボーズの「SoundDock」は、iPod/iPod miniをケーブルなしで直接置いて接続する「Dock&Play」スタイルで簡単に高音質なサウンドが楽しめる

レストランにSoundDockを設置してユーザーがお気に入りの音楽を楽しめるようにするという取り組みは、プロジェクト当初からの企画として挙がっていたものだと言う。渋谷に集まる人々はとても流行に敏感で、特に音楽との関わりについてはデジタルオーディオプレーヤーに親しむ人も多く、新たな音楽の楽しみ方をいち早く提供するために最適なスポットとなっているのだ。

今回のサービスにボーズのSoundDockが採用された背景としては、非常に多くのユーザーを獲得しているデジタルオーディオプレーヤーであるiPodの各機種をサポートしており、ケーブルをつながずにiPodがセットできるという使いやすさが一番に挙げられていた。カリーノに遊びに来た方々が、持ち込んだiPodで音楽を聴けるというシチェーションは、友人や恋人と一緒にいっそうプライベートな感覚でくつろいだ時間を楽しむのに最適だろう。

■自由にBGMが楽しめる心地良さを体験

カリーノ・キャメロットコートの取り組みは音楽の発信という面から見ても面白い。今回の取材時、個室に用意されていたiPod miniには、DJ Masaの提供による未発表の音源が収録されており、SoundDockで快適なサウンドを楽しむことができた。こちらの楽曲を提供したDJ Masaはメジャーで活躍するDJの別名であり、未発表の曲をカリーノ・キャメロットコートのサービスによっていち早くファンに紹介でき、様々な反応が得られることもひとつのメリットであるという。また、店舗に備え付けられたiPodに収録する楽曲は今後も増やしていく予定であり、メジャーの曲はもちろんのこと、クリエイターたちによる未発表曲の収録も検討されているとのことだ。

今回の取材では筆者の所有するiPodを持ち込んでSoundDockのサウンドを楽しんでみた。予めセットされているiPod miniと交換するだけで、個室にお気に入りのサウンドが心地良く広がった。SoundDockにセットしている間は、iPodの充電が行えるというのもユーザーにとっては使いやすいだろう。

▲個室はDJ Masaのプロデュースによる楽曲を収録したiPod miniを常備する。個人が持ち込んだiPodで好きな曲を楽しむこともできる。今回は折原一也氏もiPodを持参して、SoundDockによる音楽再生を体験した

その他にカリーノ・キャメロットコートが提案する新しいフロアBGMのサービスとして、カリーノのアネックスにセットされたアップルのデスクトップPC「iMac」とデジタルオーディオプレーヤー「iPod」により音楽を楽しむことができる。こちらにはボーズのノイズキャンセリングヘッドフォン「QuietComfort2」もセットされており、音楽に包まれているアネックスのスペースの中でも、自分だけの音楽を快適に楽しませてくれる。実際に試聴してみたところ、フロアのサウンドも低音を中心に抑えられ、しっかりとした音楽再生を楽しむことができた。

▲カリーノのアネックスにはアップルの「iMac」と「iPod」に収録された楽曲が楽しめるサービスも用意されている。ボーズのノイズキャンセリングヘッドフォン「QuietComfort2」が、隣接するクラブスペースのBGMから隔絶されたパーソナルな空間を心地よく演出する

最新のカルチャーを発信し続ける渋谷の街から、また一つ新たな流行が生まれようとしている。デジタルオーディオによってもたらされた音楽の楽しみ方は、外出先で自分のiPodを専用のサウンドシステムにセットするという形で更に使いやすいものとなった。デジタルオーディオの楽しみ方が急速に多様化するいま、今後もカリーノ・キャメロットコートのチャレンジに注目するとともに、ボーズのSoundDockを備える施設の更なる拡大に期待したい。

■CLUB CAMELOT COURT／CARINO（RESTAURANT-LOUNGE-ANNEX）