ボーズ「M3」のコンパクトさ、ナチュラルなサウンドに驚く
PW ボーズのスピーカーシステム「M3」を初めてご覧いただいた際の第一印象を教えてください。
大山 第一印象は、もうとにかく想像していたよりも小さくて、軽いなというところですね。この程度の大きさだと、電子ピアノの限られた奥行きでも本体の上に直接置くことができます。シンセサイザーの場合でも、トップのパネル上にはボタンとかスライダーなどがたくさん付いているんですけれども、この位の大きさだったら、置くスペースを確保することができますね。また最初にサウンドを聴いたときの印象ですが、音を絞った際に音量は小さくなりますが、音の存在感がそのままちゃんとあるなという感じでしたね。
PW さらに今回はカシオの電子ピアノ「PX-310」と「M3」をつないで試奏をしていただきましたが、あらためてどのような印象をお持ちになりましたか。
大山 ピアノという楽器は、ほかのどの楽器と比べても音域が広いのですが、その一番高い音から低い音まで、音域によって特にどこに癖があるでもなく、全域に渡ってフラットに、ナチュラルなサウンドを聴くことができました。おそらくどのような電子ピアノと組み合わせても大丈夫だろうと思います。音楽もジャンルを問わずに使えるのではないかと感じています。この良さは、音のバランスの良さにあるのではないでしょうか。楽器の持っているポテンシャルをそのまま音にして出しているからだと思います。
様々な用途に便利な使い方ができるスピーカーだ
PW 実際に試奏されてみて、電子ピアノと「M3」とで、ピアノの入門者にとってもこんな遊び方ができるんじゃないかといったご提案みたいなものはございますか。
大山 ピアノとスピーカーのストレートな組み合わせでというと、もう本当に弾いて、良い音を楽しむということに尽きると思うんですけれども、デジタルピアノをベースにして、例えばシンセサイザーであったり、パソコンと組み合わせて曲をつくったりする人もいると思います。そうした場合のモニターとしても「M3」は大変適していると思います。電子ピアノにはオーディオのインプット端子が付いている製品があります。そちらに、例えば「iPod」でもCDプレーヤーでも再生機器を入力して、そのサウンドを出力しながら一緒に弾いて楽しむという遊び方もできると思います。
PW 好みの音楽を伴奏にしてしまうことができるわけですね。
大山 あとは、最近の電子ピアノには大抵バッキングパターンやデモンストレーションの曲データが内蔵されていますので、それを再生しながら鍵盤を弾くという楽しみ方もありますね。こういった使い方の場合は、スピーカーもより良いものだと楽しさも増しますよね。夜に練習したい時などにはヘッドホンを付けている方も多いと思いますが、「M3」はボリュームを絞った小さい音でも音像がしっかりとしているので、ヘッドホンの制限なく演奏が楽しめるのではという感じがしていますね。
プロ志向のユーザーもクリエイティビティを刺激されるはずだ
PW また、ピアノの熟練者にとって「M3」はどのように活用できそうですか。
大山 電子ピアノに限らず、やはりキーボードにはすごく向いているスピーカーだと思います。シンセサイザーには大抵スピーカーが付いていないので、何らかの音出し装置が必要になるんですけれども、シンセサイザーになると、フルオーケストラの音から、ピアノはもちろん、ギターの音やベースの音など、ありとあらゆる音が出ます。どの音を出してもナチュラルに聞こえるということが、やっぱり一番重要なことなのかなと思います。「M3」のようにその条件を満たしてくれるスピーカーはそうそうありませんね。それから、やはり「小さい」ということも大きな魅力です。キーボードプレーヤーは鍵盤があって、人によってはパソコンがあったり、音源モジュールがあったりと、すごく周辺が雑然とするパートなんです。「M3」は、ちょっとしたスペースを見つけて置けるというところが非常にいいですね。また、従来のシンセサイザーはハードウェアが中心だったんですけれども、最近はソフトウェアのシンセサイザーが結構出回っています。プロのミュージシャンの方などは、ノートパソコンと一緒に持ち歩いて、例えばツアー先のホテルで、それで曲づくりをするという方もいらっしゃいます。そういうときのモニターとしてもすごく便利だと思います。
PW これまで外付けのスピーカーはどうしても周辺機器というイメージが強かったように思います。今回のカシオ「PX-310」との組み合わせでは偶然カラーリングもマッチしましたが、「M3」はひとつの楽器としても楽しめそうですね。
大山 そうですね。普通の楽器、例えばバイオリンにしてもギターにしても、特にスピーカーはなく、楽器本体から音が出ているわけですよね。電子楽器の場合はどうしてもスピーカーが必要になってくるわけですが、あまり大きいとスピーカーの存在感というものを意識してしまって、弾いている時に何か楽器を弾いている感じじゃなくなってしまうことがあると思うんです。この位の小ささだと、もうスピーカーを意識しなくて、何か楽器から本当に音が出ているような雰囲気で弾けるのではないかと思います。
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